2017-06-09

嫌いだった人が亡くなった。

数年前に同じ職場だった方が、亡くなった。

少ししてから自殺だったと聞いた。

私はその人が嫌いだった。

その人は異動してきてすぐに、心の病で休職経験があると私に言った。お節介の私は、その人が早く職場に慣れるよう何かと世話を焼いていたと思う。

その頃 職場は本当に人手不足で、ほとんどの人は持ち帰り仕事をしていたし、残業会社協定ぎりぎりだった。初めはその人も早く慣れなきゃ、一人前にならなきゃと言っていた。

社会には優先順位などを判断して自律的に動ける人と、それが苦手で指示を受ける方が向いている人がいる。その人は後者なのに、リーダーを任されるはずの等級を与えられていた上、うちの職場企画業務ばかりで、不向きな業務であることは誰の目にも明らかだった。

毎月ルーチンの担当業務も全て、課の他メンバーと一緒でなければ進められなかった。その人と、その人が頼りきりのメンバー業務は玉突き的に他の人に回った。

すでに限界間際の職場さらにピリピリとしていった。

その人は自分業務に精一杯で、他のメンバーの都合を考えられないタイプだった。重要会議の始まる時間に出席メンバー相談事を始めて、周囲が声をかけても中断しないなんてことが頻発していた。残業中22時近くに業務相談を受け、数十分かけて説明したのにメモ一つ取ってもらえず、翌日完全に同じ相談をもう一度されたこともあった。

その頃、女子トイレで「あなた残業中いつも化粧崩れてるよね」と言われた。「女を武器にしてるよね」とも言われた。

誰のせいで残業が増えてるのか、甘えた声で男性仕事押し付けてるのは誰か、私の倍の年齢で倍の給料をもらいながら半分以下の仕事しかしてないのは誰か。

我慢限界だった。

私はその人が嫌いだった。

心の中で給料泥棒と見下していた。

恥ずかしいことだが、私はその人が頼りきりにしていた男性と一時期こっそり付き合っていたこともあり、女々しくて薄暗い嫉妬気持ちもあった。

その人の体調不良による休みが数日続いた後、休職になったと発表された。後ろめたい気持ちもほんの少しあったが、正直その人がいない方が仕事は早く回った。

そのまま別の職場に籍が移って、その間に部には人の出入りがたくさんあって、私も部内異動をしたある日。

その人が亡くなったことを知った。

思わぬ人から自殺だったと聞いた。

異動後も休職していたことは知っていた。

うちの職場休職した最大の要因は、業務ミスマッチだったと思うが、私の影響が無かったとは言いきれない。異動してからの数年、その人に何があって、どうしてそういう決意をしたかは分からない。

おそらく表面張力限界を超えてグラスから水が溢れるように、長年の積み重ねだったのだろう。私が棘になった日もあったのだろう。

会わないうちに赦されていたと思いたい気持ちと、あの頃に戻ったとしても、自分感情や行動は変わらなかった、正当だったという気持ちと、きっと異動してからの数年が原因なのだと思いたい気持ち

思い悩んだところで何も変わらないから考えるのをやめてしまいたいのに、毎分毎秒蘇る。

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