恋をするとお金がかかる。
なぜなら女子とは、恋をした途端に着る服がなくなってしまう生き物なのだ(※)。デートが決まったりなんかした日にはもう、新宿や原宿や銀座に向かわずにはいられなくなる。私は主に、恋をすると新宿をあてもなく徘徊する流浪の民となる。ルミネや界隈のショップというショップをまわり、クローゼットの肥やしを片っ端から一新し、それまでさして気にも留めなかった化粧品を手にとってはレジに持って行ったりするのだ。
というのも、恋をすると、何らかの力により、これまで自分が何をどのように考え服を着ていたのか、まったくといっていいほどにわからなくなってしまう。馬鹿になってしまっているのだろうか。恐ろしい。ルミネのエスカレーターを何往復も上下しながら、これは面白い現象だなぁと毎度俯瞰してみたりするが、そう考えている本人は何と言っても必死である。それまで手持ちの服で十分に生活していたはずなのに、ある日を堺にクローゼットの服たちが途端に色あせて見えてしまうのだ。なんということだろう。こんな服で外へお出かけになんて行けない。ましてや好きな人の前になんて、とてもじゃないが立てやしない。その思いは焦燥となり、私の足をルミネや伊勢丹へ向かわせる。
目の前の彼に、少しでも可愛いとかきれいだとか思ってもらいたい。きっと恋をすると誰もが、そんな気持ちでいっぱいだ。しかしそれよりも切実なのは、彼の前に立ったその時、はやる心臓に邪魔されず彼の目を見つめられるような、なんでもない涼しい顔をして会話できるような、そんな自信を持つために、私は服のちからを借りるのだと思う。
着るものとはとてもすごいちからを持っている。誰に見られるわけでない下着ひとつとっても、新しいブラやお気に入りのパンツを身につけるだけで、それだけで気分は花が咲き、なんとなく遠くを見て歩けるようになるものだ。勝負下着とは、彼のためではなく、自分の自信のために身につけている。
恋をするたびに私のクローゼットには新しい服が増え、その分惰性で着ていたものたちは消えていく。新陳代謝のようだなぁと思う。惰性で着ていたものたちだって、昔いつかの誰かを思いながら買ったものなのだ。それなのに、新しい恋をするとまるで世界が一変したかのように、とにかく古臭く、やぼったく見えてしまう。よくこんなもの着ていたなと、中にはそう思ってしまうものだってある(一応言っておくが私は相手の好みの服装に合わせるタイプの人間ではないので、そういう意味で世界が一変したのではなく、あくまで自分の中で、大好きだった服が色褪せて見える)。
誰かに恋をするたびにこの現象が起きるので、人生の七不思議としてここに書き留めておく。
明日はデート。代々木、11時待ち合わせ。パックしてもう寝なくちゃ。
※…すべての女性がそうではありません。それから妙齢なのに女子とか言ってごめんなさいね。
※※追記:妙齢とはうら若いという意味だそう。誤用ごめんなさいね。この場合はじゃあいい歳してとか言ったほうがいいのかしら。
妙齢とはうら若い女子のことですよ
おっさん乙…と言いそうになったがおばさんか? 文体の話ね
いつものおっさん。 おっさんが女を装って書いた文は大抵、 ●おっさんが女に言わせたい言葉(おっぱい、下着等主にエロを匂わせるネタ) ●おっさん特有のステロタイプな女のラ...
確かに昭和女子のイメージで書いてるっぽい 今はルミネで服買わないもんな
ルミネより伊勢丹の方が違和感ある 「新宿や原宿や銀座」ってのもおっさんくさい 「新しいブラやお気に入りのパンツ」ってのも、ブラは新しいのにパンツは古いのかよ(上下揃えて...
キモオタ向けアニメに出てくるリア充な女の子のなんかズレてる感じもこれに近い 自分ではその違和感をうまく言葉にできなかった。解説ありがとう
設定された自意識のレベルと俯瞰表現のレベルが合ってないのよ こんなに自分の状況を俯瞰して凝った言い回しで表現できる人間は、これほど自意識だけの世界を素直に突っ走って外に...
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