リアルでの「人狼ゲーム」に巻き込まれ、最初村人サイドとして狼を殺して生き残った主人公が、今度は狼サイドとして村人役の人間を殺す側に回る、という作品。
ぶっちゃけ人狼ゲームにこういう「個人的関係」や「主人公の性格」という要素を入れるとゲーム性が薄れるのでつまらなくなると思っている。「純粋にゲームとしてやるから面白いもの」に、無理やり人間性やら人命の大切さみたいな話を入れても、プラスにならないどころか無粋な感じになる。実際「主人公=村人サイド」だった前作は主人公の性格に難点があったことも合わせて微妙な出来だった。
しかし、前作「村人サイド」側の話において、主人公は自分が生きるためにクラスメイトを犠牲にするという決断を行った。このことで主人公の内面において変化が生じ「前の戦いで」犠牲にした人をムダにしないためにも、自分の意思で人を殺そうという状態になっている。そして、今作では主人公と他の人間との関わりは弱いため、ゲーム的要素が前作よりは強くなっている。
……と思ってたんだけど3巻で「人狼ゲーム」としてみたらやっちゃいけないことをやってるのでどうしても評価できない。その不測の事態からの切り返しが悪いとは言わないがフェアではない。フェアじゃないやり方で主人公側が勝つとか、物語として最悪。自分で程度の低い作品って認めてるようなもんじゃん。
ラストシーンも、この作品は結局何がヤリたかったのだ、という根本的な問題がダメ。人狼ゲームをヤリたかったのだとしたら人狼ゲームとしては途中から破綻したし、主人公は人格が簡単に豹変しすぎてそれを物語として全く回収できてない。読んで損した感強い。
そもそも人狼ゲームの村人側の目的は「最終的に全狼を吊るす」ことであって、 「自分がゲーム終了時点で生存していること」では無いんだよね。 「リアル人狼ゲーム」ではそれが無視...