自分がまだ小学生の頃、ふとしたきっかけでエロゲの存在を知った。
だけど、その頃の世の中にはまだ大人がゲームなんて遊ぶことを馬鹿にするような所があった。
それなのに大人しか遊べないゲームが一部でだけど話題になっている。
つまり大人になってからゲームやってる人も沢山いるって事じゃん!
そう自分は感じた。
そして大人になってからもゲームで遊ぶであろう、そしていつまでたってもモテたりはしないであろう自分はきっと彼らエロゲーマーといつか合流するのだろうと感じた。
たまにムービーも見た。
まだ動画配信サイトがない頃は公式ホームページから動画や歌を落として聞いていた。
紙芝居の切り貼りもあれば、他の一般ゲームに負けないような出来のものもあった。
そしてどれもが独特の甘酸っぱいような、子供っぽいような、それでいて大人向けと思わせるような、何か懐かしい雰囲気があった。
その頃自分がエロゲに一番感じたのは憧れよりも懐かしさだった。
そしてある時YouTubeがやってきた。
次々にOPを見てOPソングを聞いて、ときにはEDや挿入歌も聞いた。
楽しかった。
真夜中に自分のような人間の将来が不安になったとき、YouTubeを見れば何だか安心できた。
自分のような人間のまま大人になった人がいて、それなりに楽しく生きているのだ。
実際にエロゲをやってみたら想像よりもつまらなかったので、実はあまりエロゲはやっていない。
あの頃感じたネット越しの一体感がまだそこにあるような気がするから。
同じ気持ちの人がどこかにいる、同じ傷をずっと昔幼い頃心に負った人がどこかにいる、そんな気がするのだ。