http://www.asahi.com/articles/ASK3P7KX3K3PULZU00T.html
道徳の教科書検定で「パン屋」を「和菓子屋」に変えたという話が割と身に覚えのあることだった。
弊社では人事評価のとき「企業理念に沿った行動をした」ことを述べた作文をする必要がある。
そのときには企業理念に含まれる単語ベースで自分の業務との関係を無理やりひねり出して、それを上司に提出する。
検定の話も似たようなもので、学習指導要領に「伝統と文化の尊重、国や郷土を愛する態度」という項目が含まれているから、何かしら「国」に関わるものを教科書に含めなければならない。
そのとき「和菓子屋」を持ち出せば、「和菓子屋が出るので国や郷土を愛する態度の項目はOKです」と偉い人に説明がしやすくなる。一瞬で説明できる分かりやすさが大事。
「単語が網羅されなくても、道徳の大切さは伝えられる」とはいうものの、誰にでも分かる明確さ・透明性で言えば単語を基準にするのは有効だと思われる。
出版社が既存の話の「パン屋」を「和菓子屋」に変えただけで検定に通ったことから、実際に単語が重視されていることは間違いない。
出版社としては「国」の項目を埋めるために新しい話を加えるのはコスト的・教科書の文字数的に厳しいので、既存の話の語を差し替えるという手段をとったのだと思われる。
教科書とは限られた文字数の中で学習指導要領の22項目に関係する単語を盛り込めるかを競うパズルのようなものだ。その制約下では、パン屋よりも和菓子屋の方が空間効率が良い。