彼は背が高くてちょっと弱気な優しい人で、高校の仲良しグループとして何人かで集まり、スマブラ(DX)などでよく遊んでいました。
私はその人に、2年生のはじめ頃告白をしました。結果は玉砕でした。
「君は友達としか思えない」とあっけなく振られ、でもこのまま離れたくなかった私は、彼の友達になることを決意しました。振られた次の日も普通に挨拶をして(彼は優しかったので、普段通りに接してくれました)、その日から卒業まで、私はずっと仲良しの友人としてその人のそばにいました。
大学に入ってからもしばしばそのグループで遊んでいたのですが、その度に彼は恋人ができたことや別れたこと、ついでにセフレができたことなんかの話をしてきました。
私は彼の友達だから、そっか〜と適当な相槌をうったし、今更どうこうなるわけもないよなぁ、と諦めていましたので、別に傷つくなどといったことはありませんでした。
そんなある日、彼のプライベートで酷い出来事がありました。彼はそれを私に語り、私は話を聞いていました。
彼は不意に言いました。「君はいいやつだなぁ。こんなに親身な言葉をくれるなんて。こういうの少し恥ずかしいけど、僕にとって君は1番の友達だよ」と。
その瞬間、私は素直に「嬉しい」と思うことができませんでした。
なぜなら、自分はこの人の友達ではなく、股間の対象になりたかったんだということに気が付いてしまったからです。この人に信頼してもらえている嬉しさよりも、この人に性対象として見られないことの虚しさの方がほんの少しだけ大きかったのです。
その話をした頃、私の就職活動や彼の院への進学で段々とばたばたし始め、グルーブで集まる機会がぐっと減りました。集まってもどちらかが忙しく、結局4年ほど会う機会がないまま時が過ぎました。
そして昨日。
私は久しぶりに彼に会いました。
彼は相変わらず背が高くて優しくて、それに加えて、酷い出来事を乗り切った人特有のたくましさを持っていました。
彼はスマブラ(初代)をやりながら、前と同じように恋人ができた話をして、セフレの話をして、まぁなんとかやってるよ、と笑っていました。
私も対戦しながらそっか〜と相槌をうって、笑って話をしました。
それから昔の話をたくさんして、ご飯を食べて別れました。
ここだけの話ですが、私は心のどこかで期待をしていました。ようやく私も彼の股間の対象になれるんじゃないかって。ここ数年で髪も伸ばしたし、化粧も覚えました。女性らしい所作もそれなりに学びました。これなら彼の股間も少しは対象としてみてくれるんじゃないかって。
でも駄目でした。
どうやら私は、永遠に彼の股間の対象になれないということがわかっただけでした。
私は彼と別れた後少し泣きました。でもちょっとだけホッとしました。次に会うとき私は、ようやく彼と友達になれるのでしょう。
勿論、遅すぎたのはわかっています。4年前にこの思いを持てていれば、私は彼の親友になれていたかもしれません。だけどそれはどうしようもないことです。
だから私は次に会うときは、もう彼の股間に怯えないで素直に「そっか〜」以外の感想を言うつもりです。ヨッシーの復帰も阻止するし、また「1番の友達だ」と言われるくらい仲良くなれればいいな、と思っています。
草食すぎる スマブラやりながら突然全裸になるくらいじゃないとダメだ 男はバカだから全裸の女が目の前にいたら、友達だろうがブスだろうが、たまらずむしゃぶりつきにいくはずだ
この「私」の(生物学的)性別は男なんだよね? そういう話と思って読んだんだが、そう思えないレスがついていたので、一応。