「クルマで行ったらだめさ。そりゃ、ハンドルも慣れてるし、いいこともあるけど、マイカーの中は日常だよ。」
たまたま休み取れそうだったので、旅好きの先輩と雑談をしていたときのことだ。
彼が言うには、マイカーの車内の数立方メートルが邪魔なのだという。その空間は日常で、日々の通勤や、買い物や様々な”日常”につながるから、一人旅に持って行くなという。子供連れの家族ならともかく、一人旅なら絶対鉄道がオススメらしい。
クルマ派の私は、荷物が楽だ、電車には待ち時間がある、途中の道で寄り道できる、などと敢えて意見してみた。
「そりゃ、当たり前だよ。ただ、荷物だって小さくすりゃいい。それだって日常のカケラさ。一人旅だったら大きすぎる荷物も考えモンだ。待ち時間なら本でも読んだらいい。高速道路の渋滞情報聞いてイライラするよりよっぽどましだよ。」
「有名な観光地をどんどん巡りたいならレンタカーが効率的だな。最近はナビもついてるし、駅前でクルマ借りたらいい。連絡しておけば列車に合わせて用意してくれるよ。時間になったら返す、大きな池の貸しボートみたいなもんだ。」
「あとな、いつでも酒が飲める。でも、そしたらレンタカーはだめだ。」
そうだった、この人は酒好きだった。
かつてターミナルで駅弁売ってるのがふつうで、誰でも社内で弁当食ってたのに、最近では列車内での飲食はマナー違反みたいになってきてる。それはどうかと思うが、飲酒がマナー違...