2017-02-07

釣りむちゃくちゃな理由JASRACを勝たせた判例ベスト10(前半)

2月9日16:00追記)釣りエントリーでした

素人が浅はかな理解JASRACを叩いてるエントリーだと思った?? 残念!!素人が浅はかな理解JASRACを叩いてるエントリー」に見せかけた高度なJASRAC擁護エントリーでした~

いやー、100ブクマ行ったら釣り宣言しようと思ってたんだけど結構すぐだったよね。みんなJASRAC嫌いすぎでしょw

でも冷静なブコメも多くて、全然むちゃくちゃじゃないだろとか、判決の一部だけ歪曲して切り出すなよとか言ってるの見て意外とリテラシーあるじゃんって見直したぜ。さすがに全然事案の違う住居侵入判例を紹介してる辺りでなんかおかしいって気づいた人も多かったかもね。

こんなふうに判決文を恣意的に抜き出されたり、キャッチー不正確なまとめかたをされたりすると簡単誘導されちゃうから、どんな分野でも、「判例があるぞ」って言ってる人がいたら気をつけよう。

ここに挙げた判例のどの辺が全然むちゃくちゃじゃないのかについては週末に解説書くからお楽しみに。

とりあえずトラックバックブコメでいろいろ正しい指摘がされてるから読んどいて。まともに読んで反論してくれた皆さんに感謝(>人<)

以下原文(打消し線入り)↓

最近何かと話題JASRACですが、ここで、JASRACを勝たせるために裁判所むちゃくちゃな理由を述べている判例ベスト10を見てみましょう。

10

ダンススクールに通ってる受講生は『公衆』にあたる」(名古屋地裁

名古屋地方裁判所平成15年2月7日判決

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=11324

最近よく知られるようになったダンス教室判例著作権法上、「公衆」に対する演奏でなければ権利行使ができない(22条)ことから、入会金を払い契約しているダンス教室の受講生が「公衆」と言えるのかが争点となった。

著作物公衆に対する使用行為に当たるか否かは,著作物の種類・性質や利用態様を前提として,著作権者権利を及ぼすことが社会通念上適切か否かという観点をも勘案して判断するのが相当である(このような判断の結果,著作権者権利を及ぼすべきでないとされた場合に,当該使用行為は「特定かつ少数の者」に対するものである評価されることになる。) 」

理論もなにもない、結論ありきの判断をすると言い切っているところがいっそすがすがしい。「著作権者権利を及ぼすことが社会通念上適切か否かという観点から判断すると言っているが、ダンス教室の受講者が公衆に当たるとする社会通念って一体どのような調査をして認定したのだろうか。それは裁判官の頭の中にある妄想社会通念だったのではないか? 昨今の世論を見ていると、むしろ公衆に当たらないと考えるのが社会通念なのではないか。こんな脆弱結論ありきの判断が「判例」として有難がられてよいのだろうか。

第9位

JASRAC調査員が身分を隠して入店しても違法ではない」(大阪高裁)

大阪高等裁判所平成20年9月17日判決

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail7?id=36833

「仮に,控訴人が調査員と知っていれば承諾しなかったとすれば,錯誤があったものとして意思表示の効力に影響があるが,事実行為としての入店調査違法をもたらすものではない。」

身分を隠して入店して調査をしても違法じゃないよ、とお墨付きを与えた判例。ちなみに刑法世界では、夫に無断でその妻と浮気するために住宅に立ち入る行為はたとえ妻の承諾があっても住居侵入罪になるとか(大審院大正7年12月6日判決)、労働組合員がビラ貼り目的郵便局に立ち入った事案で「管理権者の態度、立ち入りの目的などからみて、…管理権者が容認していないと合理的判断されるときは」建造物侵入罪が成立するとか(最高裁昭和58年4月8日判決)、国体開会式妨害する目的一般客を装って平穏陸上競技場に立ち入る行為についても成立するとか(仙台高裁平成6年3月31日判決)いう判例の蓄積があるが、JASRACを前にすると裁判官はそういう判例については忘れてしまうらしい。

第8位

曲名アーティスト名を含むファイル名なら、内容を問わず送信禁止」(東京地裁

東京地方裁判所平成15年12月17日判決

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail7?id=10643

有名な「ファイルローグ」事件違法アップロードされたファイルとそうでないファイルをどうやって区別するのかが問題となった。裁判所は、ファイル名を見たら分かると断言。

利用者は,自ら創作した音楽電子ファイルをMP3ファイル形式にして本件サービスにより送信しようとした場合には,可能な限り,市販レコードとの混同を避けるはずであるから市販レコード題名や実演家名と同一の名称使用することはないと解するのが合理的であること…等に鑑みれば,ファイル名等に本件各管理著作物の『原題名』及び『アーティスト』を表示する文字の双方が表記されたMP3ファイルの中に本件各MP3ファイル以外の電子ファイルが含まれていることを前提とした被告らの上記主張は理由がない」

自作曲や著作権切れの曲などにたまたま実在レコード題名歌手名の入ったファイル名を付けることなどありえない、という決めつけに基づいて、内容が本当にJASRAC管理楽曲なのかどうかは問題にせず、 JASRAC管理楽曲タイトルアーティスト名を含むmp3ファイル送信をすべて禁止した。

第7位

「今後の無断利用についてJASRACがいちいち証明訴訟をしなくても、毎月約19万円を支払い続けなければならない」(大阪地裁

大阪地方裁判所平成17年1月17日判決

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail7?id=9825

被告Aは、今後も、原告JASRACの許諾を受けずに被告店舗における管理著作物の利用を継続するおそれが強いものと認められ、将来の使用料相当額の損害賠償についても、予めその請求をする必要がある。したがって、原告JASRACは、著作権侵害による不法行為に基づく損害賠償として、被告Aに対し、平成16年5月1日から被告店舗において管理著作物演奏を停止するまで、毎月末日限り、1か月当たり19万1520円(使用料相当額)の割合による金員を支払うよう求めることができる 」

無断利用があったことを原告(訴える側)が証明して裁判所に納得させるのが裁判大原であるしかしこの事件では、将来無断利用をするかもしれない(しないかもしれない)場合に、JASRACは今後裁判をしてそれを証明しなくても、自動的に毎月19万円を受け取れるとされた。

第6位

「今後も無断演奏に使われるかもしれないから、ピアノ撤去せよ」(大阪地裁

大阪地方裁判所平成19年1月30日判決

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail7?id=34068

「本件店舗におけるピアノ演奏演奏された楽曲ほとんどは管理著作物であったことが認められるから,本件店舗に備え置かれたピアノは,主として原告JASRAC演奏権侵害する管理著作物の無断演奏使用されていたと認められる。 」「現実使用態様が主として管理著作物の無断演奏に供されるもので,その状態が今後も継続するおそれがある場合に,原告JASRACがその撤去を求めることは,本件店舗における被告による演奏権侵害を停止又は予防するために必要行為に該当する」

これも同じく将来の無断利用の可能性について考慮したもので、「レストランカフェ・デサフィナード事件」として有名な事件ピアノなんてどのような曲の演奏にも使えるのに、過去JASRAC管理楽曲ばかり演奏していたのだから今後もそうでしょう、という予測に基づいて、店からピアノ撤去するよう命じられた。過去侵害をした者は永遠に更生しないという偏った人間観を感じる。なお、経営者最高裁まで争おうとしたが、最高裁は、大して重要問題ではないので審理しないとして門前払いの決定をしている。

<後半に続く>

http://anond.hatelabo.jp/20170207184136

トラックバック - http://anond.hatelabo.jp/20170207184036

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん