2017-01-31

底なし不況による経済地獄

セブン-イレブンの加盟店で、シフトに穴を開けたパートタイム雇用従業員俗称アルバイト」)に制裁として減給していたということで、各所で報道されている。

当然だが、シフトを埋めるのは雇用主の責任だ。それなのになんでこんな気の狂ったことが行われたのか。そこに問題本質がある。

コンビニエンスストア」というものほとんどはフランチャイズビジネスで、店を経営しているのは中小企業個人事業主が多い。シフトに穴が開いて埋められなければ、オーナーとかその家族とかが入ったりする。もしも反対にオーナーがそれなりの会社だったとしても、正規雇用従業員応援に入らせたら本来業務に穴が開く。

コンビニ家族経営が多いのは、売上が少なかったら人件費を削れるからだ。売上が多ければ非正規雇用俗称アルバイト」、差別語パート」)を増やせるとして、そういう「入れ食い」の状況は限られる。個人事業主やその家族は大概、雇用契約ではなくてあってもせいぜい委任契約から人件費を削れるし、労基法すらまるごと適用されるわけではない。

時給は固定費であるから、売上が少なくとも、掛かってしまう。売上比例で人件費が掛かる、代理店ビジネスとか請負契約とかフランチャイズビジネスコンビニ本部(笑))とは異なる。「成果主義」(人件費を減らすための理屈)にあてはまらない。

儲かっている店ならば、シフトに穴があかないくらい多めに従業員を用意しもするかもしれない。そんな店は多くはない。また、物凄い不況貧困で、少しでも多く入らせてくれと泣く従業員が少なくないので、オーナーとしては用意する従業員数を減らして一人あたりたくさん入れるようにする「温情」を働かせている店もあるかもしれない。

それで、穴が空くリスク潜在的高まる。穴が空いて、オーナーとか家族ぐるみで穴埋めをしてタダ働きとか予定が狂ったとかなると、その分差し引きたいという欲望というかわがままというか怨念というか、そういう主観的発想がでてきもするかもしれないわけである

コンビニには、街の、寂れてどうしようもないような個人商店再生したり、地域住人の需要に応えたり、そういった貢献をしていた側面もある。なんで自分とこの店が売れないかもわからない人とか、金融的信用がないか改装資金すら借りられないとか、借りても売れる保障がないからやれないという人とかがいる。そこにコンビニ本部があるお陰でオーナー従業員生計が助かっているという側面もある。(ただそれは過去の話で、いまはむしろオーナー募集してオーナーリスクを付け替えてポンポン新店建てて、それでコンビニ本部経営を成り立たせている面が大きい。上場すると、増収増益を強要され、店舗数拡大を期待される。)

しかし他方で、物凄い不況が何十年も続く中で、売価を削り粗利を削り、人件費を削り、賃金雇用を削り、といったことが全国的一般的になった。経済社会の退潮がコンビニビジネスを活況にしたのだし、コンビニビジネスというのは、物凄い不況貧困の結果の一例にすぎない。

問題本質は、コンビニビジネスモデルにあるし、そしてそうしたビジネスモデルときに末端にしわ寄せがいくような政治経済と、こうした階級化(ひとことでいえばイジメ差別)を容認し推進しすらする日本人社会文化・慣習(江戸時代確立されたもの)にある。

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