2017-01-22

最も人を殺せる職業に就いてしまった

から漠然と、目的もなく生きてきた。

しかしある時ふと気づいた。 「人を殺せる職につきたい」

俺はそういう人間なのかと、一時はとても悩んだが、この考え方が自分にとってとても自然なことを徐々に受け入れて行った。


それを実行に移すべく、いろいろ調べた。

別に直接殺さなくてもいいのだが、間接的すぎるのもダメだ。車業界事故を起こすとか、反医療を流布するとか。

殺しているという実感が得られない。


考えた挙句とある物語に登場する、コロニー落としというものが良いとの確信に至った。

少なくとも数億の人類を殺せる。別に指導者じゃなくて、モビルスーツパイロットで十分だと思った。

コロニー地球軌道まで搬送して投下させる、この瞬間を想像するだけで震えが止まらない。

コロニーを落とさねばならぬ


とりあえず、宇宙コロニーに人々が移民するような時代にならないといけないが、とても俺が普通に生きているうちに実現するとは思えない。

そこで宇宙世紀がやってくるまコールドスリープすることにした。

いつまでコールドスリープしていればいいかからないし、コールドスリープから目覚める技術進歩しきってから目覚めないとダメだ。

そこでまずクラウドファンディングプロジェクトを立ち上げ、資金調達した。

「最も人を殺せる職業に就くため、宇宙世紀までコールドスリープしてコロニー落としがしたい」

という名前募集したところ、ネットでバズってしまい、1億ほど集まってしまった。

しか宇宙世紀までコールドスリープするにはお金が足りなさすぎる。

そこで獲得した1億で、アメリカの弱みを探って、お金たかることにした。


色々とナショナルトレジャーっぽいことをした結果、失われた合衆国憲法みたいなのを発見してしまった。

これを公表されたら今の地位やばいぞ、というのを遠回しに伝えたところ、いい感じのお金をくれた。

もちろん暗殺とかされないように、俺が死んだら情報が公開されるぞ、みたいのを組み込んでやった。

そのお金財団設立し、ずっとコールドスリープが保持されるように体制を整えて、コールドスリープに入った。



そして目覚めた。しかしま西暦は続いていて、宇宙世紀は来ていなかった。

近くにいたAIに話を聞いてみると、どうやら人間宇宙生活適応できなかったらしい。

したがって宇宙コロニーもない。

なんてこった。

それどころか、地球寒冷化汚染が進んで、人が住める環境ではなくなっているらしい。

その結果、人類は劣悪な地下環境で過ごすか、地球環境が戻るまでコールドスリープするかを選んだ世界となっていた。

俺の設立した財団は、俺のコールドスリープの維持だけでは非効率と考え、希望する人間コールドスリープを行う事業を立ち上げ、

世界随一のコールドスリープ管理組織となっていた。今やコールドスリープ管理する人間20億を超えていた。

すると、財団創設者である俺は、20もの人間生殺与奪を握っていることになっていた。

念願だったコロニー落としはもう叶わないだろう。しかし最も人を殺せる職業というのにはなってしまった。

眠っている人間をそっと殺すというのは、趣きに欠けるかもしれない。

どうしたものか。

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