2017-01-08

うそつき友達

お酒を飲んで気分が良くなった時など、話を盛ってしまうことがある。

しかし、1を誇張して10にすることはあっても、0を10にすることはない。

私には、頻繁に0を10にして話す友達がいる。

彼にとって救いだったのは、周りに愛想を尽かされず、うそつきキャラとして居場所を得たことだろう。

私と彼は、大学ゼミの同期だったのだが、出会った当初は「自分政治家と知り合いだ」「株で儲けた」など自分を大きく見せる発言を繰り返しており、正直好きになれなかった。

しかし、ゼミ合宿打ち上げで、彼が童貞であることが発覚する。

彼は、これまでの発言から推測するに経験人数は3人で特殊性癖の持ち主であった。彼の従前の飲み会での下ネタはとても面白かった(女性陣には大不評であったが)。

初体験の話も面白可笑しく話していたので、ゼミメンバーはみんなその内容を知っていた。

しかし、酒を飲みすぎた彼は致命的なミスを犯す。そこで話された初体験の内容が、これまでの内容と異なるのだ。

彼の発言一貫性のなさについて、ゼミの先輩が詰め始める。

そして、ついに彼は全てをゲロし(物質的な物も含め)、泣きながら謝罪をした。

自分はつまらない人間で、嘘でもつかないと誰とも繋がることができない弱い人間なんだ、と彼は言った。

みんなお酒を飲んで泥酔しており、また彼の話が切実だったこともあり、そして何より彼の嘘は誰かを傷つけるものではなかったので、彼は許されることになった。

彼の告白は本当なのか?という疑問もあるかもしれないが、その場にいた人間としては、彼の告白真実だろうという謎の確信があった。

そして、何よりの証拠として、その日以降彼は変わった。

面白い話を考えたんだけど、言っていい?嘘だけど」と前置きしてから話すようになったのである

まぁ、彼は確かに嘘つきであったし、人を傷つけなくても嘘は嘘だろと厳しい声もあるだろう。

しかし、彼は優しい良い奴なのだ。私だって、嘘をついてまで自分価値があるんだと言いたい時もある(くだらない虚栄心といわれても仕方ない)。

そんなこんなで彼との付き合いは卒業した今も続いている。

彼は、何の価値もない俺と友達でいてくれてありがとう卒業式に言った。

その言葉に対して、めちゃくちゃクサい返答をしたのだが、それは恥ずかしいので書くのはやめる。

例のツイッターで思い出したので書いた。

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