増田アースにおける陸上胎生動物の歴史は奇妙な形ではじまった。
そもそも、陸上から水中にもどった肺呼吸生物が一生を水中で送る場合、
胎生を獲得することが必要となる。
たまたま海退に取り残された彼らが再上陸を果たす形で増田アースの陸上胎生生物は誕生した。
前足はヒレの形で残っていたが、後ろ足は退化が著しかったため、
彼らが四足歩行に戻ることは困難だった。
代わりに立派な尾が橇の役割を果たして前足に引きずられる体の抵抗を減らした。
その際に胎児が押しつぶされる危険があるため、そいつは背泳ぎの形になった。
そんな奇妙な光景が現出する。
優勢な卵生陸上生物がいない新しい陸地に生まれたことが彼らに幸いした。
尻尾の轍は代々深く堅くなっていき道になった。