今週の文春。
連載なので、具体的に某ファストファッション企業の売り場から見える実態と闇の深さの考察は次号を読まねばならず、
今週は導入部分といったところか。
しかし、今回触れられていたバーゲンと呼ばれる催事期間中の販売員、店舗業務に従事する労働者の過酷な労働環境とプレッシャーは、
いくら初めから納得の上で課せられた「仕事」とはいえ、読んでいて本当に胸が痛くなる。
アパレル流通においてSPAの中で店舗型対面販売の部門は、その売り上げを通信販売・無店舗型のインターネット取引に取って代わられつつある。
販売員を長時間拘束し、人件費家賃含め諸経費がかかりすぎる店舗経営というのは、これから縮小の一途をたどるのは明白だ。
売り場は、今、時代に即したやり方でもっとスピーディーな情報伝達体系を模索して変化しなければ生き残れない。
しかし、記事を読む限り、そして同業他社の様々な人たちから聞く限り、
いまだに売り場というのは原始的かつ高圧的なトップダウン形態に支配されている。
ブランド名や商品力だけでは響かぬ、移り気で流動的なお客様が購入に至る過程において、
商品の力だけでは補えぬ「知識」「信頼」「安心」を生み、ブランドのファンを増やすという点において、非常に重要な仕事だ。
広告とネームバリューと商品力だけでは補えない、人と商品との「出会い」と「絆」は、
むしろ今こそ実店舗経営は他社との明確な差別化を訴求するための、強力な武器になりうると思う。
売り場は、そこに行った者にしか味わえぬ強烈な「体験」がある。
販売員はお客様の個性に合わせて演出し、魔法をかけ、喜びと優越感を体感してもらう。
だが、その売り場に今となっては「数字」「雑用」「クレーム処理」ばかりが、しわ寄せのように押し寄せる。
働いている人々のポジションも賃金も、本社に属する者より低く安い。
過去には現場重視の会社も多々あったが、この不況でグッと数が減った。
年齢が上がり売り場に立てなくなった古参販売員の他業種への流出も、具体的な受け皿がないままダダ漏れ状態。
数字がキッチリ取れるほどの販売力、心地よいサービスを提供する接客力というのは、数ヶ月〜1年ではなかなか身につかない。
しかし販売の離職率は上がり、キャリアの浅いバイトや派遣ばかりで、接客スキルの質の著しい低下も、最近はとても目に付く。
「売り場重視」「働きやすい環境」を謳う何社かも、比較すれば他の業界に比べ圧倒的に賃金・福利厚生共に水準には全く届かない。
ユニクロに行く客は従業員にそんなもん求めてないと思う むしろ従業員が話しかけて来たりするの鬱陶しいから寄ってくんな、自由に選ばせて買わせろ、って客が多いのでは