他人に興味を持てなくなった。
人が何をしようが、誰を好きだろうがはっきり言ってどうでもいい。
恋が面倒くさくなった。ときめかなくなった。タイプの人間が分からなくなった。
LINEが面倒くさくなった、SNSに触れなくなった。誰が何を更新しようがどうでもいい。
一度だけ、猛烈な片思いをした。
同じ中学校のクラスメイトだった。誰にも好かれる明るい人で、親友になることができた。
隣にいれるだけで幸せだったけれど、愚かなことをしてしまった。
告白をしてしまったのだ。彼ははっきりとした拒絶をしたわけではなかった。
ただ目を見開いて、その後おかしそうに笑った。
「冗談やめろ」
本気だと言いたかったがヘタレな自分にはそれ以上言葉を告げることはできなかった。
自分が好きな人が自分を好きになってくれるとは限らない、同性なら尚更。
全てを他人に見せることはなくなった。
カミングアウトをすることも、本来の自分を見せることもなくなった。
笑って、笑って、少し泣いたけど、怒ることはなくなった。
元来短気な性格だったけれど、他人に怒りを見せることはなくなった。
今は周囲には穏やかと言われている。
愛する人を抱きしめてみたいと思う。でも、過程を踏むのが面倒だ。
本当に思い切り、歪んでしまった。
ある女子は僕と話すことが楽しそうだった。
「〇〇ってほんと面白いよね」と笑顔で言った。タイプだなーとも続けた。
ごめん、僕は君のことなんて本当にどうでもいいんだ。
いや嘘だ、本当は友達として好きだった。
その帰り道で告白された。嬉しいかと思ったけど、ちっとも心が動かなかった。
彼女と付き合ったら、何かが変わるのかもしれないとふと感じた。
白い肌に可愛らしい顔、僕は君になりたかったと一瞬だけ思った。
前にいるのが男だったら、性的対象だったら、僕は喜んでいたのだろうか。
以前は、タイプの男性を見たら胸がときめいてしょうがなかった。
この先、社会人になって、年を重ねる度に感情がすり減っていくのかと思うと、唾棄したくなる。
もちろんそんなことはしないけど。
他人に無関心なのは継続させることの面倒くささを知ってしまったからだ。
性欲を全く知らない相手で解消したらどうなるのか興味があった。
でも恐怖心があるのも確かだ。
なんかそれに手を出したらヤバいみたいな固定観念が自分にはある。
リアルでこんなことを話す気には絶対にならないし、仮に話したとしても相手はドン引きだろう。
なんてことはない、ただの大学生の戯言だ。