気がついたら怪力の大男に育っていた。
子供の頃から怪力で将来はオリンピック確実とか色々言われていた。
中学にあがると怪力が一般的な常識レベルではないことに気がついた。
握力が1.5トンほどある。全速力で時速300kmほどで走ることができる。皮膚はとても厚く、象やサイのレベルだと診断された。
身長は2.8mになった。
どこまで「育って」しまうのだろうか。
いろんな機関から検査の依頼があった。僕自身も人間ではないのかな?という不安もあり積極的に検査を受けた。
親は普通の人間だ。その両親だって普通の人間に見える。なぜ僕だけこんなに怪力なのか。
これだけの人間離れした怪力だ。注目もあびる。何度かテレビにも出た。
鉄パイプを曲げて車を持ち上げてオリンピック選手と競争したり。
生活だって考えなくてはいけない。25歳を迎えるころには就職を真剣に考えるようになった。
テレビの出演料と各種機関からのお金でもよかったけど、自分の生活を見つけたかった。
しかし仕事はすぐに見つかることはなかった。普通の人間と一緒に生活するにはあまりにも危険すぎるのだ。
色々考えたあげく山の中のキャンプ施設で住み込みで働くことにした。
一般的な住宅ではもう住めない。熊や鹿のような野生動物に近い生活環境じゃないとのんびりできないのだ。
その巨体と怪力をなぜ震災ボランティアに生かさないのか?とか博多の陥没事故の工事に参加するべきとか、税金の無駄遣いだとか。
僕には僕の生活があり、そんなことを言われても困る。第一仕事に穴をあけてまで参加できるほどのお金もない。
夜は焚き火をしながら夜空を眺め、時には熊とじゃれあい時間を過ごし、一緒に鮭を取った。
そんなある日
という夢を見た。