2016-10-18

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今回はモアイ

VS.爆弾魔(第32回イブニング新人賞 編集部特別賞)

流して読んでいたら分かりにくいが、読み返してみたら何となく分かった。

爆弾犯の部屋にあったヌイグルミに細工をしていたわけか。

もちろん、それはストーカー行為の一環だったわけだが、結果として功を奏しているわけね。

自分ストーカーをしていることがバレたくないのと、ストーカー相手警察突き出したくないのと、爆弾犯ではない潔白を証明したいという葛藤などを考えれば、作中の主人公言動にも納得がいく。

まあ、最後オチからすると恐らくその後の展開は、主人公含めて全員がそれぞれ罪に問われることになりそうだ。

評価としては、まあよかったんじゃないかな。

特に間の取り方や、セリフややり取りのチョイス、それらのリズムは好み。

ただ絵が、特に人物の表情が固いのと、ちゃんと読んでいないとストーリー理解しにくい構成なのが難点かなあ。

箱の中(第32回イブニング新人賞 奨励賞

短いページ数の中で、見せたいものを最低限表現できているストーリー構成なのがいいね

ただ、必然的な短さではないと思った。

キャラ人格を読み取る背景とか作中でのやり取りとか、そこに至るまでの言動を読者に伝える描写がないから、出来事だけ描かれてもピンとこないんだよね。

キャットファイト(第32回イブニング新人賞 奨励賞

おー、タイトルに偽りなしと感じた。

格闘シーンもそうだが、物語テーマキャットファイト収束していて、高い構成力があると思う。

画力は上手いと言い切れるものではないんだけれども、安定感のなさや野暮ったさがかえってキャットファイトの妙さを滲ませている。

それでもイマイチ絶賛する気が起きないのは、単に私の趣味じゃないからなのか、言語化できないだけで致命的な欠点があるからなのか。

野ばら(第32回イブニング新人賞 奨励賞+花沢健吾特別賞)

作中の相互作用する独特の関係性や、それに伴う嗜好や劣情といったものテーマなのかね。

WEBコミックを中心に色々と読み漁っている私からすれば、このレベル変態的な描写凡庸範疇だと思ってしまうなあ。

ただ、逆に言えばこれ以上やると読者の大半は引いてしまって物語を追う所ではなくなるかもしれないから、これくらいが丁度いいのかもしれないね

読者が理解しにくいであろう箇所に関しては登場人物に心情を吐露させることで、付いていきやすいようにしていて、配慮しているんだろうなあ。

盆栽(第32回イブニング新人賞 優秀賞)

構想の時点で目をひくが、それを通じて心理描写をちゃんと展開させているのは好感持てる。

その上で起承転結ちゃんと描いているから、読後感では今回の新人賞の中では一番かなあ。

ただ、タイトルにもなっている盆栽の絵が物足りないと感じた。

そこが美麗にかつ圧巻に描かれてこそ、テーマに漂う歪さを表現しきれると思うので。

流刑の空(第32回イブニング新人賞 準大賞)

なんだろう、すごく理屈っぽい作品だという印象。

「そこまで言語化しなくてもいいのに」と思ってしまう。

丁寧というか、真面目というか。

なのにタイムスリップしてきた人物と大して絆を育むやり取りをしていないせいで、なんだか舞台装置的だと感じる。

主人公の悩みがフィクション世界では月並みなのに、それを解消する存在が大層すぎる設定なのもあるんだろうね。

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