2016-10-11

ヒゲさら

わたしはそれほどヒゲが濃くはないが、

それでも首の「のどぼとけ」の両側あたりに、ちょろちょろとはえることがあり、

うっかり、剃り漏らしていると、朝から日中気になる。

爪でカリカリとつまもうとするが、大抵は周囲の皮膚ごとつまんだあげく、

血がにじむけど、ヒゲは抜けないという八方塞がりになることが多い。

そんな私の様子を見ていた後輩が「わたしが抜いてあげますよ」と言ってきてくれた。

彼曰く「ちょろっと生えたヒゲを見ると、抜かないと気持ちが悪い。それが自分のでなくっても」

なのだそうだ。

Win = Winの関係になった僕達は、朝、出社するやいなや、ヒゲチェックをするようになった。

「あ、ここはえていますよ!」

しまった、あー、でているね。頼む。』

しょうがないっすねー」

微笑ましい朝の風景となってきた今日部長から

ヒゲの抜き合いをやめろ」と言ってきた。

理由を聞くと「会社ヒゲを抜きあう場所じゃない」とのこと。

「それじゃお言葉ですが、ヒゲを抜きあう場所ってあるのですか?」

と聞くと、答えられない。

あげくに出てきた言葉が「見苦しい」と言い出した。

「頭をハゲちらしている部長には言われたくないですね。」

そうでかかった言葉を飲み込み、

私は首から生えるヒゲだけを伸ばすことにした。

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