2016-09-08

犬を殺してきた

スーパーバイト先で知り合った年上(アラフォー)の彼女から

もう犬が飼えないから殺して欲しいとお願いされた。

可哀想だよ」といっても、「もう飼えない」「愛情がわかない」と言う。

聞けば、30歳になったお祝いに元カレにもらった真っ白なフレンチブルドッグらしい。

名前元カレにちなんで「ターくん」と付けられているのは知っている。

「いや、でもその責任は飼い主のあなたにあるから

あなたがとどめをさすべきじゃない?」と言うと

「そんな正論はいらない」と泣きじゃくって会話にならない。

時間ぐらい沈黙があってから、こっちも根負けして

「よし、やるか」とすくっと立ち上がった。

「お願いします」と彼女

彼女の家は、歩いて5分程度に先のマンションにあってわりと近い。

わたされた合鍵で部屋にはいると、玄関に見知らぬ男が倒れていた。

この人はたまに話しにでてくる「夫さん」だろうか。

そして根負けして部屋に来たことをちょっと後悔した。

ふと足下をみると「ターくん」がぺろぺろとわたしの足を舐めてきた。

わたしは手に持ってきたスパナになんともいえない感情を込めておもいっきり頭をめがけて振り下ろした。

ターくんは「ぎゃん」とだけ小さく鳴くと、唯一黒かった眼球も白目をむいて倒れこんだ。

ターくんには悪いことしたなぁ。

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