2016-08-30

十数年前、俺はある趣味BBS常連だった

そこには俺より長く居る人も含め10人余りのこぢんまりとしたものだったが、あるとき荒らしと思しき書き込みが現れ始めた

それは他の利用者罵詈雑言を吐いたりするようなものではなく、ただひたすら意味不明な(それでいて特徴的な)文章毎日何度も投稿するというものだった

管理者NGワード指定をしようにも、とにかく精神分裂病患者のように支離滅裂文章なので防ぐ事も出来ず、IPアドレス指定書き込み禁止すると即座にIPアドレスを変更して投稿を続けるという悪質なものだった

管理者はやむなく別の掲示板レンタルし、元々の常連達にメールなどで回覧荒らしアドレスを知られることなくそこで平和な日々を取り戻した

荒らしはというと、そんな事も気にせずほとんど誰も書き込まなくなった掲示板荒らし続けていた

それから一年か二年過ぎた頃、管理者が「このBBS常連オフ会というものをやろうぜ」と言い出し、時間場所の都合のついた常連の一部が賛同、そして開かれる事となった

その際、荒らしが居る方の掲示板にも「念のため」とオフ会の告知をしていたのだが、それがまずかった

その荒らしオフ会に現れたのだ

荒らしオフ会会場(管理人の自宅近くの居酒屋)に到着する直前に掲示板荒した際のハンドルネームを名乗り、まるで我々と同じ古株のように振る舞い始めようとした、その時、隣に座っている常連の一人(常連達の中でも最古参で、身長190cm体重105kgの巨漢だ)が、その荒らし顔面に渾身の力をこめて鉄拳をめり込ませていた

まるでボウリングボールのように床を数メートル転がった荒らしは、鼻から血を吹き出しながら「な、何するんだ!」と喚いた

古参の巨漢はその様子を見て、ニッコリと微笑み「ああ、安心したわあ」とつぶやいた

そして腰を抜かしているらしい荒らしの前に立ち、ゆっくりとしゃがんで荒らしの顔を覗き込み、こう言った

「お前さ、俺たちが荒らすのやめろと何度言っても止めなかったじゃん?お前に何て言ってもお前全く反応しなかったじゃん?だからさ、お前って本当は人間じゃないんじゃないかって、俺らの間で噂になってたんだわ。いやあ安心したわ。普通人間が殴られた時と全く同じ反応したって事は、お前ってやっぱり人間だったんだなって。いやあ、よかったよかった」

予約したのが広い個室だったことが幸いし、店員には発覚しなかった

荒らし行為はその日から止まった

とうぜんだが、その掲示板に書き込む者もいなくなった

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