緊張で息が詰まって泣いてるような間の取り方になってしまった
相手への印象を考えたくないほどにボロボロの発表をしてしまったと思う.
中学生の時は学級委員をやってて、人前での発表も全然平気だった.先生から1人だけ発表の内容ではなく仕方について工夫を褒められたこともあるし、むしろ発表は得意だった.
高校生の時は演劇をやった.知らない人の前で演技することも最終的には慣れっこになった.うちは他校と合同発表会みたいなのをしてて、会場での運営は生徒自身がやるような形だった.だから受付や司会も自分らでやらなくてはいけなくて、俺は司会も何回かやった.その場で即興で話を組み立てて喋ることだって慣れた.
大学生になった.俺は引きこもった.理由は書くと長くなるけど簡単に言うと精神的に鬱っぽくなって身体に影響出ちゃって大学に行くに行けなくなった.それが2年ほど続いた.つらかったけど少ない友達や、引きこもる前に行ってたサークルの仲間とたまに会っていたから死ぬほどつらくはなかった.
徐々に外に出る練習もして、この春からやっと授業に出られるようになった.何とか通えていた.
期末試験のシーズン、俺は取ってる少人数の授業で発表をやることになった.この授業は半期かけて各自が調べたことを最後に発表するってやつだ.
俺は引きこもっていたとはいえ、その間もたまに友人と会った時は全く問題がなかった.身体的にも、精神的にも高校の快活な時と変わりがなかった.
だから発表も嫌じゃなかったし、むしろ楽しみだった.俺が見事な発表をかましてやるぜって意気込んでたくらいだ.
なのに昨日の発表当日.俺は全然喋れなかった.
30分前から緊張が襲ってきて、授業5分前ぐらいから呼吸も荒くなってきた.
おかしい.落ち着け..俺は発表得意じゃないか.こんなの錯覚だ.落ち着いて発表しよう...
そう思っていたけど、出来なかった.
「あっ...すみません緊張しちゃって..」必死に苦笑いを浮かべるけど一向に落ち着けない.
喋ろうとしても言葉に詰まる.全然息が吸えないから喋りが続かない.
泣きたくなってきた.これじゃ小学生の発表苦手な子みたいだ.
発表は散々だった.俺は授業が終わってみんながいなくなった教室で座り込んで立ち上がれなかった.
人前なんてへっちゃらだった.得意だった.なのにたった2年、人前に出なくなっただけでここまで喋れなくなるのか.
俺は絶望した.これまでの人生で大事に育ててきたスキルがものの見事に溶けて消えていたんだ.他にこれほど得意な能力なんて俺にはない 俺のこれまでの人生なんだったんだ.二十数年生きてきた努力が全部消えちまったよ...
死にたい.もう人前に出たくない.
一生引きこもっていたい.でも引きこもっていたくない.
昔のように明るい俺に戻りたい.
人前で緊張せずに喋れる俺に戻りたい.
もう全てが暗くなった.
スキルが溶けて消えていた、っていうのは気のせいじゃないか? 以前明るい自分だったのは、スキルがあるからではなく、「失敗を恐れなかったから」だ。 だから勢い良く波に乗れたよ...