2016-07-12

僕が死んだ後、100年後、1000年後、10000年後の君に送る手紙

やあ、元気かい

 

僕は君が生まれる何年も前に生きていて、死んだ者だ。

君が生きている時代は今の僕からは遠い未来の話なんだろうね。

どうだい?

自動車は空を飛んでいるかい?

働かなくても食事ができて雨風をしのげる生活をしているかい?

ワープできたり、生まれつきのハンディを克服できるバイオテクノロジー存在したり、

星と星の間を自由に行き来して星間旅行を楽しんでいるかい?

もうすぐ不老不死も実現できそう?

そうかい…。

 

僕が思っていたよりもずっと未来は明るいらしいね

僕はその恩恵を何一つ受けることはできなかったけど、

今の君たちが幸せならそれで何よりだ。

 

でも、まだ何か悩んでるんじゃないのかな?

例えば人間関係とか、自分存在価値への承認とか、能力限界とか、

怒り、愛憎、焦り、不安孤独憎悪…まだ人間の原始から来る感情に悩まされているんじゃないのかい

実は、未だに戦争をしている地域がどこかにあるんじゃないのかい

どこかで飢えて抵抗することもできずに命を落とす子どもたちが…いるんじゃないのかい

そうかい…。

 

僕が思っていたとおり、未来になっても人の原罪は償え切れるものではなかったようだ。

僕は君に謝る。

すまなかったと。

遠い過去に生きる僕たちが人類悪夢を終わらせることができなかったことを。

テクノロジーの発展に尽力することはできたが、

幸福の手助けには遠く及ばなかったということを。

たった一人の人間幸せにすることも難しいままだということを…。

 

謝罪と同時に願いを送らせてほしい。

どうか君の時代では、人々が憎しみで争うことがないように。

どうか、お互いがお互いを思いやり尊厳を持って接し合うように。

どうか…愛する人を守り、幸せにすることができるように。

 

今の僕ではできなかったことを未来の君たちに託す。

どうか君は失敗しないでおくれ。

僕の希望を叶えて見せてくれ……。

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