僕「先生、僕はくまみこのアニメに激怒している原作ファンの気持がわかりません。同じ話ではありませんか?」
物理学者を辞めてアニメオタクになったガリレオ・ガリレイ「ふむ。では私がこのタカミメロンを見てくれ」
僕「まだ食べごろではなさそうですね」
ガリレオ「このメロンを私の胸の高さから地面に落としたら、どうなるかな?」
僕「跳ねますね」
ガリレオ「そうだな。そしてメロンは無傷だろう。では、あのピサの斜塔の天辺から落としたら?」
僕「粉々になります」
ガリレオ「そういうことだよ。おなじ落下という痛みでも、一メートルの高さから落ちるのと五十五メートルの高さから落ちるのでは強さが違うものだ」
ガリレオ「アニオタの高みは一歩ずつたゆまぬ歩みによってのみ到達できるのだ……ところでここにわしが編集した『カバネリの無名ちゃんの萌え萌えシーンだけを編集した最強無名ちゃんビデオ』があるのでいっしょに観よう」
僕「いまどき『萌え萌え』もキツいですが、VHSというのもアナクロすぎてステキですね」
ガリレオ「十六世紀生まれだからパソコンオンチでのう……ん? 誰かこっちにきよるぞい」
僕「すごい形相ですね。警察かな?」
ガリレオ「ほんとだ。すげえなお前」
警官B「貴様はガリレオ・ガリレイ教授だな? 署まで同行してもらおうか」
ガリレオ「え、なんでですか」
警官A「余罪は署で聞こう。目下の罪状は窃盗だ。このタカミメロン。千葉県旭市の農場から盗んだものだと認めるな?」
ガリレオ「ううっ……(ガクリと膝をつく)。そのとおりじゃ……私がやった……。私は……どうしても許せなかったんじゃ……子供の頃に母に対してあんなことをしたあいつを……」
警官A「おい、立たせてしょっぴけ」
警官B「さっさとこい!」
名探偵「悲しい事件でしたね……くまみこがキチンと終わっていれば彼もこんなことをしなくて済んだはずだ……」
僕「まあ嘆いててもしょうがないし、形見のメロンでも食べましょう」