年間を通してみれば「しつけの為に山に置き去りにされた子供」ってのは結構いると思う。
ただ「しつけの為に山に置き去りにされてそのまま帰って来なかった子供」はあんまりいない。今回の子は、可哀想だけど帰って来れなかった1人となりそうだ。
「怖かったろ? 悪い事をするとこういう目に遭うんだ。 分かったら今度から良い子にするんだぞ」
そう言って家族仲良く帰る予定だったのだと思う。
確かに、恐怖は教訓を深く心に刻むから、男の子は反省しただろう。
そしてその反省と教訓は大人になった時に役に立ったかも知れない。
お父さんはあくまでも「息子のため」という大義の下に彼を山に置き去りにしたのだと思う。
大切だから正しい事を知ってほしい。
気持ちは分かる。
でも、子供を山に置き去りにするのはしつけではない。
殴るのも、ご飯を与えないのもそうだ。
大切だからといっても、本人のためだからといっても、決してやるべきではない。
そういった身近で、大切で、コントロールしやすい存在を手に入れると、つい命令的になってしまうのが大抵の人間だろう。そういった弱さがDVや虐待の一因だと思う。
「これは良くないからやるな」
そして、従わなかったら罰を与えたくなる。「こんなにもおまえの事を考えているのに!」と。
相手を思うが故に罰を与える事の矛盾に気が付くのは難しい。たしかに、その罰が本人のためとなる場合もあるから。
ただ、上手くいく場合もあれば、上手くいかない場合も同じだけある。
「しつけのためには必要」「本人のためになる」なんてのは結果論に過ぎない。
あの事件、5分後に戻ったというけど、ウソっぽく思える。 5時間ぐらいしてるんじゃねーのと思う。