2016-04-19

『なんで?攻撃』に遭う

昨日、ラーメン屋カウンター席でラーメンを食べずに餃子を食べていた。

そうしたら、俺の右隣に座っていた5歳くらいの男の子が急に「背中かゆい!」と言って俺の方に背中を向けたのだ。俺はびっくりしたし、もしラーメンの汁でも飲んでいたら吹き出していただろう。

俺が何か言う前に彼は「あっ間違えた」と言って、背中母親の方に向けた。ああ良かったと思って餃子に戻ると、今度は彼の視線が気になった。そう、彼が母親背中を向けているということはつまり、俺に顔を向けているということなのだ。

母親は「はいはい」と淑やかに言い、息子の背中を掻き始めた。餃子を食べている俺と、俺を凝視しながら母親背中を掻いてもらっている男児。それはありがちでありながら奇妙な光景であった。

彼は急に「さっきより背中がかゆくなった」と俺に向かって言い放った。正確には、母親に言い放った。けれども母親は隣に座っている父親と思しき人物と喋っており、彼の言葉は不運にも俺にのみ届く形となる。

「さっきより背中がかゆくなった!」

また言った。

俺にはもう餃子の味は分からなくなっていた。だんだん紙みたいな味がしてきた。餃子の味を再び認識したいというそ一心で彼に話しかけた。「そうか、かゆいんだね」語彙力が乏しいのでただリピートするだけである

しかリピートしたことによって、彼は自分の話を聞いてもらっていると思ったようだ。

「うん、かゆいよ。背中を掻いてもらってるのに、なんでさっきよりかゆいの?」

「血の流れが良くなったからじゃないかな」

「なんで良くなるの?」

背中を掻いてもらっているから」

「なんで背中を掻いてもらうと、血の流れが良くなるの?」

これがウワサの『なんで?攻撃である

「じゃあ、君ははなんでだと思う?」

「…うーん?なんで?」

最早カオスであった。手に負えない。

『なんで?』

この平易でありながら重々しい言葉を、未熟な俺には受け止められなかった。

からこう言うしかなかったのだ「なんでかっていうと、人間から」と。彼は50パーセントくらいは納得したみたいな顔をして、やっと黙った。

「なんで人間なの?」と聞いてこないあたり、彼は立派である

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