2016-03-20

エア社員がやってきた

雇用情勢改善のせいか、採用活動がままならなくなったわが社なのだが、慢性的な人で不足は一向に解消されない。

贅沢をいえば、有能な人材がほしいところなのだが、猫の手を借りたいほどという表現がこんなに似合う会社もほかにないと思う。

主席課長のぼくは、海の家で朝からマッシュポテトを作ったり、夕方には業務用回転鍋と業務用マーボーの素を駆使して、おじいちゃんおばあちゃんの施設向けの料理も作り、なんでもこい状態で、ワーカーの業務すらこなしているのだ。

求人広告を出しても全く効果がない状態救世主が登場した。

急に中途や新卒新入社員くんがやってきたのだった。どうしたことだろう。雇用情勢改善の中、新卒カード有象無象食品会社に使ってしま若者が現れるとは。もはや天と地がひっくり返るような事態予兆なのか、はるか太平洋の向こう側で起きているトランプ旋風の影響が、神奈川の片田舎に押し寄せてきたのかは謎である

社員が増えたあと、急に育児休暇制度が整備された。平均社員年齢52.5才のわが社にとって、育児が終わってしまった世代か、育児とは無縁の人生を送ってしまっているぼくのような社員しかいない。制度を作るだけ無駄仕事無駄努力なのだ。総務が穴を掘って、その穴を総務が埋めるような仕事なのだ

将来が明るくなるようなメデタイ事態が発生しているところ、一つの不思議事態に気が付いた。新しく入った2人は、忽然と姿を消したのだった。退職したという事実は、発表されていないし、社員名簿のExcelブックにも社員のマル秘情報である生年月日とともに載っている。なぜかトイレ掃除の当番表には、名前はない。

主席探偵課長ジョブチェンジしたぼくは、自分の部下のことではないとはいえ、同僚の社員が神隠しにあったかのように会社から消えてしまった事実に対して独自捜査をしなくてはならない義憤かられたのだった。

この二人は一体どこの事業所へ飛ばされたのか。はたまた一時的研修なのか。主席課長のぼくを差し置いて、アメリカMBAの取得のため会社持ちで留学しているのであろうか。20選手のぼくより優秀なヤツがくるなんて、思ってもみなかった。こんな会社社長にさえ重用されないぼく。これまでの社での功績など無に等しいのだ。きっつー。

ここは腹を決めて、総務部長に真相を聞いてみようかと思い、玉砕覚悟突撃

転職覚悟しているぼくには怖いものはない。

総務部の扉を開け、一番奥の総務部長の席に向かい、疑問をぶつけてみた。

「新しく入った社員は、僕の部下にはならないんですか。」

総務部長は笑みを浮かべながら僕に言った。

「この前の朝礼で紹介した二人ね。実は、市と県の就職支援事業から紹介された人材でね。受け入れると補助金が出るんだ。育休の対象なりそうな人材だったので、急遽、育休制度も作ってね、すぐに育休に入ってもらった。偶然だぞ。育休制度を作って育休を取得させると補助金が出るからね。結果、一石二鳥だったよ。彼女らの入社は。この功績は社長賞もんだね。」

「偶然ですねー。」

ということで、わが社にマッチングした幻の社員は、育休終了後に復帰することはあるのだろうか。昨今、社会保険労務士などの士業によるギリギリ合法退職指導が横行しているこの世の中。彼女たちは存在はなかったことになるのではないか。育休終了後の事態を見守りたいところだが、それまでにぼくは、転職フィニッシュを決めなくてはならないのだ。

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