2016-02-22

http://kabumatome.doorblog.jp/archives/65854456.html

読んだ。以下長い。

まずミスドじわじわ削られてる理由だが、これは「選択肢ミスドしか存在しなかった」状況だと、商圏がもんのごっつ広大だったのが、コンビニでも(質はどうあれ)置いてあるとなると、遠方の人間は「しょうがない、コンビニでいっか」ということになるからで、実質的に商圏が狭くなっているせいだと思われる。

商圏ってのは物理的な距離もそうだが、心理的距離も影響する。たとえば東京都内に住んでいて「徒歩25分」は論外で商圏外だが、田舎に住んでて車で25分は商圏になりうる。で、物理心理的な面を含めて商圏から外れた人たちからミスドから離れていくということである。行くの大変だから

ミスドの売上が「じわじわと」削られている理由はそんなところかと。

で、実質的コンビニミスドドーナツが競合しているかというと、俺はかなり怪しいものだと思う。というのは、買う理由がぜんぜん違う。ミスドに行くときに「ドーナツ目的じゃない」という人はわりと少ない。わりと、というのはミスド業態として「コーヒー一杯でゆっくりする」というのも店舗によってはけっこうあるからだが、売上全体に対しての比率としてはかなり少ないんじゃないかと思われる(ここ完全に憶測)(データ知ってる人いたら補足してください)。

ということは、ミスドに行く人は相当の高確率で「ドーナツを買うよ!!!」という気で行くということだ。対するに、コンビニで「ドーナツを買うよ!!!」という人はかなり少ない。ほとんどがレジカウンター什器が置いてあることによる衝動買いだ。つまり「買う気がなかった人が買う」ということになる。もしそれが潜在的ミスドの客になりうる人間だったとしたら、とりあえずその人のドーナツ欲みたいなものは収まるので、結果としてミスドの売上を削ったということはいえるかもしれない(現状ではまだその比率無視していいほど低いと思ってる)。

で、さて、コンビニドーナツが売れない理由なのだが、実は味はあまり関係ない。味や、健康へのよしあしについては、そのことに意識的人間が客層として多く含まれ場所に限って影響する。つまり都心オフィスや、比較若い客層が多い場所などだ。あとはあれか、新興住宅街とかで平均世帯所得比較的高い地域しか日本にはそうでない場所のほうが圧倒的に多いし、そうでない人口も相当の比率を占める。そっちのほうが多数派なんじゃねえかな。とりあえず「ロードサイド」っていう言葉でも放り込んでおきますね。

で、そういう層に対してより意味を持つのは「味強い」「甘い」「食いごたえある」のほうである。なんだかんだいって健康にいいものって売れない。たとえば、週に100個単品で売ろうと思ったら、よほどのオフィス立地でない限り難しいはずなのね。でも健康に悪いもの100個売るのは、展開によってはわりと簡単。これは上述のオフィス立地を含めての話。

そういう意味ではセブンのPBでもヤマザキでもなんでもいいんだけど、ああい菓子パンベースドーナツって実はけっこう強い。なにしろ甘くてくどい。そりゃミスドコンビニオールドファッション並べて食いくらべたらミスドのほうがうまいってのはだれにでもわかることなんだけど、そもそもコンビニのメインの層のうち、何割が「ミスドオールドファッション」の味を記憶として保持してるのかって話。なにしろ母数違うからミスドは老若男女だれもが頻繁に利用する場所じゃない。コンビニはだれもが頻繁に利用する場所

まり、母数が違っていて、しかコンビニにおけるその母数の大部分が「味とか大して気にしない」「ミスド日常的に利用しない」層である以上、コンビニドーナツはそれらの客にリーチする可能性はあるってわけ。

でも現実的にはしてない。売れてない。らしい。

じゃあなにが問題なのかって話なんだけど、ひとつにはやっぱブコメにも指摘があったように「ミスドというブランド」が強すぎるんだと思う。味の直接的な記憶はなくても「ドーナツっていったらミスドでしょ。次にミスド行く機会があったら食えばいい」ということになる。つまりミスド=美味しい」っていう信仰だよね。買うか買わないかっていうのは、ものすごく細い尾根道を歩いてる人をどっちに突き落とすか、みたいなところがあって、わずかな揺れで買うほうへ、あるいは買わないほうへ転がっていく。そこでミスド抑止力になってるんだとしたら、このブランド力はすさまじいということになる。

次に単純にオペレーション問題。早い話「買いづらい」。レジにおける客の動きとか雰囲気ってここ10年くらいでえらい変化した。昔は2台それぞれに並んでいるどころか、どうかすると1台のレジで4人並んでいてももう1台を開放しないところなんかザラだった。ところが現在ではけっこうな確率で櫛型に並ぶし、客のほうも列を維持することに自覚的。そして自覚的であるぶんだけ「ルールを守らない人間」を非難する空気は強くなってる。レジで揚げ物を買いづらいなんてのもこのへんが理由になってるフシが強い。

ましてドーナツである。それ単体で何種類もある。どのタイミングで種類をチェックすりゃいいのか。上にメニュー看板があるわけでもない。単純にいうと、衝動買いメインである商材なのに、その衝動買いを起爆させるための導火線がまったく設置されてない。導火線は基本的に揚げ物なんかにつながっている。客の店内における動線ってのがある程度は定まってる(そういうふうに売場は作られている)以上、導火線も何本も設置するわけにはいかないんである。そして衝動買いが発生しない以上、その先にある目的買いも発生しない。そういう理屈になる。

まり、客に買わせるためのシステム作りが拙い。俺はそう考える。種類がある商品は「選ぶ」という行為と「買う」という行為距離が近くないとだめ。コンビニにおけるドーナツは、その二者のあいだに距離ありすぎる。

じゃあどうすりゃ売れるのかということになるんだが……。

いくつか考えられるが、どれも現実的ではない。

 ・ミスドと同じくショーケースに大量陳列し、対面で販売

 ・カウンター什器の中心をドーナツにすればよい

 ・価格アホみたいに下げる

 ・店内調理を取り入れる

 ・客がセルフで取れるようにする

 ・そもそもミスドとは異なる新しいドーナツ体系を築き上げる

とまあ、ざっとこんなところだ。ほかにもまだあるが、ネタ領域に近づくので書かない(まあ現実的にはその「ネタしか思えない」の領域から新しいやりかたが出てきたりもするんだが)。

そんで、俺の考えるコンビニドーナツの今後である基本的業界の動向を決めるのは某7の数字がつくチェーンなので、あそこの動向だけ見ていればよい。

とっとと諦める可能性はゼロではない。あの程度の投資など撤退したところで別にどうってことないだろう。あのチェーンなら。扉のない平置きタイプ冷凍庫なんてドーナツ什器とは比較にならないくらい高い。そういうもんを、増えた電気代もろとも吸収するチェーンである(もちろんそのぶん売上は上がってるだろうが)。ドーナツ什器くらい「だめだった♪いっけなーい♡」くらいの勢いで捨てる。

諦めなかった場合だが、店内調理とか価格破壊なんかは比較的可能性が低い。あのチェーンは伝統として店内調理に関心が薄い。某青いチェーンとかヤマザキデイリー特に後者の一部店舗)が店内調理に関して、進化袋小路みたいな実験を繰り返し、その一部をレギュラー店にも還元しようとして失敗してるのを横目に、某11の数字がつくチェーンはほとんどそういうことしない。

可能性としていちばん高いなと思うのは「新しいドーナツ体系」を作ってくるということだ。それがどんなもんかは俺にもわからん。が、あのチェーンの歴史ってのは基本的に「消費者の潜在欲求に触手を伸ばしその触手から”君が欲しいのはこれだね……これなんだね……”といやらしい粘液を送り込んで消費者触手なしでは生きていけなくする」という手法で成立している。あのチェーンがすごいのは、その触手の性能である。太くて、長くて、しかも粘液の量多い。絶倫である。ほかのチェーンはや業態もあわててまねをするのだが、しょせんまねごと触手であるため、かえってオリジナル養分にされて終わる。「やっぱセッッッッブンイレブーーーーーンヌだよね!」という消費者の暗黙の賞賛を売上というかたちで得てしまうのだ。

もしドーナツについて例のチェーンが本腰を入れてくるなら、その「だれも考えてなかったが、いわれてみればこれだった」という手法を何年かけてでも見出してくるに違いない。

そう。何年かけてもだ。あのチェーンほんといやな。ミスドがんばって。

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