2016-02-05

光を探して、夕暮れの丘を歩いた中学生

堤防をはしりまわってさがしていた。

ぶらぶらと、風が冷たい秋の日に。

中学生だった。3年生だった。

偶然、君に出くわしたくて。

会うはずがないのに、

何度も出歩くことで、その可能性を少しでも上げたくて。

だけれど、君の家の近くは歩かないようにしていた。

歩いたら、自分が何かだめになってしまう気がしたから。

君のことを僕はあまり知らない。

恋人がいるのかすら知らない。

噂を聞くだけで、胸が苦しくなった。

だけど、何度も何度も、君が僕を呼び止めたことを、

ずっと忘れることができなかった。

特別ではないかもしれない、その行為を、

特別なのかもしれないと思ってしまう。

思ってしま自分を、愚かだと思ってしまう。

外を出歩くなんて、入試だって近づいているのに、

時間が惜しいのに。

だけれど、見失うことはもっと怖かった。

から、また探していた。

出くわすことはなかった。

僕はただただ、

幸せになってほしい、とそう思った。

光は君じゃなかった。

光は、君の・・。

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