2016-01-07

英語精神論じゃないよ。

私は英国在住のおっさんである

今でこそ英国在住であるが、30歳の頃は外国人英語で話すなんてことは到底考えられなかったおっさんである

アクティビズム英語って出来ないんじゃなくて単にビビってるだけと思うのだけど」

http://daisuke-tsuchiya.hatenablog.com/entry/scary-learning-English

日本人英語ができない理由勇気積極性の欠如に求める話は昔からよく目にするが、私は精神論だけでは解決しないと思う。勇気の欠如を否定しているわけではなく、勇気が出ないことには理由があり、そこを解決せずに精神論帰結させても、一部の人以外はうまくいかないと思うのである

古い話でしか英語の話でもなく恐縮だが、むかし「要は勇気がないんでしょ」というエントリはてな村で大反響を読んだ。

http://d.hatena.ne.jp/guri_2/20080316/1205641886

アクティブなAが、彼女ができない非アクティブなBに説教する話である。Bは本当は彼女を作りたいのにいいと思ったコに思い切って声をかけることができない、いろいろ自分言い訳して傷つくのが怖いだけで要は勇気がないんでしょ。ダセェ、とそんな説教である。読ませる素晴らしい文章だと思うが、これも精神論である。Bが草食系だが爽やか青年で、本当に積極性だけでうまくいく可能性も確かにあり、エントリにおけるBはそのエントリの筆者なのでおそらくそのケースであったのだろう。しかし多くの現実はこうだ。Aはイケメンなので女と話をするのが得意であり好きである女性側も少なくとも悪い気はしない。Bは残念だがブサメンキモメンなので今のまま変な積極性を出してもうまくいかない。痛い奴、気持ち悪い奴と評判を立てられ、最悪コミュニティーにいられなくなる可能性もある。

想像してみれば簡単に分かると思う。明らかにそういうタイプでない男が、何に影響されたのか、変に積極性を出して女性にどんどん声をかけているその姿を。痛いよね。男も女もお互いにツライよね。勇気がどうという精神論だけの話ではないのだ。簡単に想像できる話であり、だからこそ多くの彼女なしは積極性が出ないのである。もちろん積極性「だけ」で好転する例も否定しない。そういう例もあるだろう。しかしながら多くの彼女なしは、根本原因(の中で変えられる部分)にアプローチしないと、精神論積極性を出せといっても多くは出ないし、無理矢理出してもツライ結果になる。女性に声をかけても嫌がられない、おかしくない程度のおしゃれと会話、要するに最低限の「雰囲気」を身につける努力を、勇気を出すことと両輪でする必要があるだろう。

大きく脱線した。英語の話だった。

何故上の例を挙げたかというと、多くの日本人勇気積極性だけ出して外国人に話しかけにいっても、それは長続きしないと思うからだ。ナンパ告白よりずっとハードルが低いのでどんどん試して欲しいが、多くの人は続かない。何故か。ここが大事だ。「多くの日本人単語を並べて意思表示はできるが、それに対する相手の返答が聞き取れないから会話にならない」からだ。

俗に「日本人は過剰に間違いを気にするから英語が話せない」と言われる。まったく納得できない。会話で間違いを気にするレベルに達している人がどれだけいる?多くの人は間違いを気にするレベルではなく、会話が成立するかを気にしているのだ。

冒頭のエントリはこう言っている。

>既に日本人て話すためのスキルって持ってるんです。少なくとも日常会話レベルであれば。結構多いのが「言ってることわかるけど、どう返したらわからない。」ってヤツです。

私はむしろ逆だと思う。どちらかひとつと言われたら、聞き取れないことこそが問題だ。「パードゥン?」で1度はよい。2度聞き返してもなお分からない。どうする?打つ手なしである。ジ・エンドである。気まずい雰囲気だけ残して会話は終了。必要なことを聞くだけならできるよ。駅はどっちですか。指してもらえばいいし、最悪筆談だっていい。でもそれは一方的必要なことを聞いているだけで会話とは言わない。

英語圏旅行に行く人、入国管理官の言っていること聞き取れますか?スーパーでは?マクドナルドでは?使われているのは全部知っている単語だ。でも。聞き取れない。話すほうは勇気でなんとかなっても聞くほうは勇気ではなんともならないのだ。

あなた会社パーティーに出ました。フィリピンの子会社から日本にはじめてきたマネージャーが出席していますが、日本語ができないので端で寂しそうにしています最近英語勉強し始めたあなたビビらず話かけました。

あなたマイネイムイズタローヤマダ。ナイストゥーミーチュー」

カルロ「ハイヤマダサンアイムカルロ。ナイストゥーミーチュートゥー。ハウアーユドゥーイング?ハウズエブリシンゴーイン」

あなた「(?エブリシンゴーイン?何だ?良く分からん。。。)サンキューサンキュー。」

カルロ「(??)(気を取り直して)ディヂューXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX」

あなた「パ、パードゥン?」

カルロ「ディヂュースペンXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXリデーXXXXXXXXXXXXXXXXX?」

あなた「(やべ、また分からない)パ、パードゥン?」

カルロ「(イライラしながら)ディド ユー スペンド XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX?」

あなた・・・・。」

カルロ「・・・・。」

こんな感じになると思う。日本人単語を知っていても発音カタカナイメージしているので、実際にはかけ離れている発音に慣れないと聞き取れないことが非常に多い。ネイティブほどゆっくりしゃべることは苦手だし、本人はゆっくりしゃべっているつもりでもゆっくりなのは最初の3単語くらいである。何度聞き返しても聞き取れない。一度目のパードゥン?はいい。2度目は相当厳しい。そして2度目でも聞き取れなかったら会話は終わりである。このきまずいツライ会話を多くこなしていくことだけでは英語は上達しない。100回もこなせば上達すると思うがそれまでに嫌になってしまうだけだし、機会も限られている。

繰り返す。話すほうは勇気でなんとかなっても聞くほうは勇気ではなんともならないのだ。

必要なのはもう少しリスニングスキルを高めること。本当の初歩、本当に簡単な会話でよいので、ネイティブ日常会話の発音理解できるトレーニングをすることが大事なのだと思う。それは英会話学校でもいいがとにかく料金が高いので、スカイプ英会話がよいだろう。だが(上のカルロと違って)ゆっくり何度でも話してくれるフィリピンの人の講師でもハードルが高く続かない人も多いだろう。アプリゲームなんかでよい。一文の英語をきちんと聞き取って書けるまで20回でも50回でも聞き返すことが大事で、ゆえに聞き返しの使い勝手がよいことが何より大事だ。CD音源などだとこの聞き返しが難しい。

この最初リスクニングの壁を越えること、挨拶バリュエーションと挨拶に続く幾つかの典型的な会話、趣味とか休暇はどこに行ったのかとか(多くの外国人は休暇のすごし方の話が大好きだ)、スポーツは何をやるのかなどを聞き取ることが多くの日本人にはできず、だから日本人日常会話レベル英会話もできない。多くの人にとって勇気だけでは解決しない問題となっているのだ。

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