都会が人口過密で、特に満員電車が異常な日本社会では、痴漢被害がとても多いのです。
しかし、痴漢被害はトラウマ体験であり、現場でも言い出せないのはもちろんのこと、時間が経ってもなかなか、他人に公然と話せることではありません。また日本では、男だけ、女だけ、といったかたちで交友関係が構成する傾向が強く、性別を超えたコミュニケーションが断絶しがちです。言い換えれば、日本社会には性別のセクショナリズムがあります。そのため、痴漢被害に遭ったことのある人は多いのに、そうした事実が話題にのぼるのは概ね、女同士の会話ばかりです。
そして、人口比率で男と女が概ね半々であるのは当然として、日本は、社会的に表立っているのが男中心であるいわゆる男社会です。そうすると、痴漢被害の体験がある女の数は社会の半数にまでは満たないうえに、男の方が外に出てくる日本社会ですから、あまり認識されていません。
わいせつ被害に遭ったことが知られたら「女としての値打ちが下がる」とさえ思われているところすらあります。公然とは言うな語るなという話になりますし、また被害者自身も「話したら損だ」と思うこともあります。
痴漢というのも、触るだけではありません。触らせるというのもありますし、道端で露出するというのもあります。そうした被害のトラウマがありながら、トラウマであるだけに他人に打ち明けられる機会もなく心の内に抑圧していなければなりません。
性被害体験の精神的外傷が癒やされないから、「女性蔑視だ」という批判行動の衝動に表れるのだということもあるわけです。そしてさらには、あれもこれも「男根のメタファーだ」という人すら出てきかねないわけです。その人はもしかすると過去に、露出狂に、膨張したモノを見せられたことがあるのかもしれません。
こうした社会状況を、批判者の単なる個人的な特異性だとしてバカにしているだけではいけないと、思います。想像力や配慮、コミュニケーション力があれば、侮蔑する人格批判は、到底言えないはずです。
今の日本社会では、男女間の現実の交際の代わりとなるものが商品化されています。それは、「アダルトビデオ」などは言うまでもなく以前からありますが、「アイドル」やアニメやゲームの類でも、現実の交友の代わりとして消費されている時代になっているわけです。
例えば「アイドル」というのも、商売として展開されています。男性向けも女性向けもあるわけで、例えば「ジャニーズ系」だろうが「AKB」だろうがあるわけです。この手の商売は、顧客の熱中、より本質的に言えば「依存」、それを利用しているわけですから、成功すれば売上規模は大きいです。とりわけ数十年にわたって底無しの経済後退にある日本では、こうした商売を批判することも、タブーとなってきています。
「アイドル」というのは元来は神々しい偶像であったはずですが、とりわけ男性向け市場では、グラビアモデルの類までもが「アイドル」と呼ばれていて、アイドルのインフレ化が悲惨なくらいです。
もちろん、これらの多くは、「アダルトビデオ」などとは異なり、非わいせつの範囲で行われています。しかし本質的には「性の商品化」です。たとえ性欲処理用でなかったとしても。
そしてこうした一種の「性の商品化」は、実在の人物、いわゆる「三次元」に留まらなくなりました。具体例を挙げなくてもいいと思いますが、男性向けであれ女性向けであれ、アニメやゲーム等の「二次元」でも、「性の商品化」は進んでいます。
近年のアニメについて、以前に押井守氏も「オタクの消費財になっている」と言って批判していますが、そうして「こころのスキマを埋める依存性商品」になっているわけです。それにその方が売上が出るわけで、この経済退潮の日本で、少しでも収益性があればまるでビジネスの「救世主」として扱われるわけですから。
このような動向がありますから、「アニメ=依存性商品」という、一般論としてはあてはまらない、事実と異なる偏見ももたれています。それ自体が誤解であったとしても、その誤解が起こる背景に目を向けるべきです。
アニメタイアップで観光客を呼び込んで「地域活性化」「街興し」とかいうことが増えて、もうけっこう経ちます。そのタイアップ作品の中にも、「性の商品化」の範疇にある作品もあるかもしれません。
しかしそうでなかったとしても、その作品に依存性があるからこそ、わざわざ遠くの人を呼べる、そういうことがあるわけです。「聖地巡礼」とかいう表現は明らかに異常ですが、本当にそれくらいの認識でやっている人達すらいるわけですから……。(そしてたかがその程度の動機で来るレベルにとどまってしまったら、リピーターになってくれないので、一過性の経済効果しか出ないわけですが。)
タイアップ例のなかでは、「ユーフォニアム」だとか、その元ネタとでもいうべき「けいおん!」だとかは、それほど「男性専用」という作品ではありません。いわば、性的なセクショナリズムは、低い方です。
それでもその作品を嫌がる人がいるのは、たとえ作品自体がニュートラルであったとしても、その熱狂的な(依存している)ファンこそが当地に来てカネを落としていくという現実があること、そしてまた前述のように偏見をもたれているということから、作品自体に対しての批判にすり替わっているからなのでしょう。
そして、熱狂的な(依存性の)男達を嫌がる女が少なくない背景には、過去に性被害の体験があることから恐怖を覚えるというのも原因としてあるわけです。
男はみな性犯罪者ということを自覚するべきだね
被害者相談窓口とかあるんだけどなんでわざわざ他人にしゃべりたがるんだろ 専門家に話せば済むものを開陳したがるとか悲劇のヒロインやりたすぎでしょ
ある男に傷つけられた経験から、男性全体に嫌悪感を持ち不条理なレベルの批判に繋がってしまってるんだろうってのは分かってる。(俺はね)(それすら分かってない馬鹿な男もいる...