2015-12-08

監獄学園で☓ぬいた○泣いた

嫁が子供を連れて一週間里帰りをしている。

この間を有意義に過ごすために、気になっている漫画の一挙読みを行うことにした。

8年前、結婚してからはじめに犠牲にしたもの漫画だった。

結婚当初、どうにかして嫁さんを漫画に感化させようと努力はした。

社会派漫画には多少興味を示してくれた。しかし、当時一番好きだった漫画だけはとうとうすすめることができなかった。

一見下品暴力的ギャグ漫画と見せかけながら、カメラワークや様々な作品に対するオマージュときに笑わせながらもドキッとさせるようなシーンの描き方が秀逸な漫画だった。

しかし、その後は出産を機に週刊誌を購読する余裕もなくなり、そんな漫画存在すら忘れてしまっていた。

この一週間で読める漫画の数は、仕事時間を考えると20冊程度が限度だろう。

まずは気になる漫画の1巻だけを数冊集めてみることにしたのだ。

監獄学園はそのうちの一冊だった。

最初感想は、今時の絵柄にキャッチー美少女と微エロありがちな漫画といった印象だ。

ところが読み進めていく間に、サスペンスちょっとしたミステリの要素を見せつつも、さらに思い切りよい、それでいて悪意を感じさせないような暴力的描画の面白さに完全に引きこまれしまった。

決めた。この一週間はこの漫画のために捧げよう。その場で最新刊までを一挙に注文することにした。

その判断が間違っていないと確信するまでに時間はかからなかった。

見た目は小綺麗で純粋登場人物たちがときおり見せるうちに秘めたる狂気

まるで映画のワンシーンを切り取ったかのようなシーンの描き方。

10巻も読み進めていく間に当初の素人くさいイメージは全く払拭されていた。

もしこれが新人なら、なんて怪物が現れたものだと思ったほどだった。

あぁ、こんなに笑ったのは久しぶりだ。

そんな時、ふと「ホント、この描き方とかアゴゲンみたいで懐かしいなぁ」という言葉自然と口をついて出た。

自分でも驚くくらい自然に、当時好きだった漫画名前を口にしたのだ。

そうして、まさかと思い目を向けたコミック背表紙に描かれた作者名を見て再び驚いた。

平本アキラ

まりわたしが好きでやまなかった「アゴなしゲンとオレ物語」の作者と同一だったのだ。

わたしは泣いた。

嬉しくて涙が止まらなかった。

彼は、もうこんな高みにまで達していたのだ。

アゴなしゲンとオレ物語面白かったところは、あの荒削りな部分でもあった。

からこそ嫌味なく読めたし、狂気を笑い飛ばすことができたのだ。

しかし、大人の事情があったのだろう。

後期に入ると映画オマージュは減っていき、独特な切り口で描く内面狂気もいつの間にか世間に対する不満へと置き換えられていったように感じられてしまった。

わたしにはそれが、せっかくの才能が刈り取られてしまたかのようで悲しかったのだ。

わたしはアゴゲンの完結を待たずして、コミックの購読を止めてしまっていた。

わたしが彼の作品に対してブランクが合ったからかも知れないが、彼がこれほどまでにきれいな絵柄を描くとは想像ができなかった。

当時のあの絵柄から、今のこの質感に至るまでには想像を絶する努力必要だったに違いないはずだ。

いうなればガモウひろしが一人でデスノートを今の形へと完成させてしまたかのような驚きだ。

そして何より嬉しかったことは、彼の作品の中に映画オマージュがしっかりと生き続けているということだ。

しかもそれは、以前のようにシーンそのものリスペクトするのではなく、描画方法やシーン展開、カメラワークリスペクトするという技法へと昇華されていた。

彼は諦めていなかった。それどころかこれほどまでに高い水準にまで上り詰めていたのだ。

わたしは、漫画のすばらしさを嫁に伝えることを諦めてしまったというのに。

現在、もうすでに2度目を読み始めている。

エロに対する下心で読み始めた気持ちリセットして、彼の描きたかったものともう一度向き合うために。

諦めず、もう一度漫画というもののすばらしさを嫁に理解してもらうために。

さっきから溢れ続けてやまない☓なにか ○なみだに誓って。

  • 勝手に一人で読んでりゃいいのに、何故無理矢理奥さんを「感化」させようとするのかが謎。 いい歳こいて連れションしないと趣味も楽しめないの?

  • 嫁に理解させる必要性がわからない。 相手もそれを求めているならともかく、特に求めていないのなら、あまり趣味は押し付けない方がいい。 同じ趣味で楽しめたらそれに越したことは...

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