2015-11-25

パチ屋クレーム担当が某ディズニーの件を語ってみる

前回の投稿を覚えている皆さんお久しぶりです。

覚えてない方はこんにちわ

今回も長文でごめんなさい。

わたくし実はクレーム担当という側面もございまして、先日ちょっと話題になってた某オリエンタルランドにおけるチケットクレームの件を少し考察してみたいと思います

要約すると「特別チケットをもらったのに、入場制限がかかっていて入れないのはおかしい。それをなんとかしないディズニーは殿様商売だ」といったものです。

まず、クレーム対応する上での鉄則がありまして、その話を一つしてみます

クレームには必ず被害があります

今回で言えば、「特別チケットで入場ができなかった。」さらに踏み込めば、「それによって家族の労力が無駄になった。」というものです。

その結果として、大半の場合、その被害に見合った補償、もしくは解決のための要求がなされます

それが今回で言う、「なんとか入場させて欲しい」だったり、「せめて心付けほしい」といった内容だったわけです。

クレーム対応とは、一見この2つに対して解決を行うものと思われています

しかし、クレーム対応が最もこじれるポイントは、その解決にこだわりすぎてしまうことでもあります

まりクレーム対応の鉄則とはこうです。

「相手の言う被害要求に、絶対にこだわってはいけない」ということです。

さて、今回のクレームにあたって、現段階で明るみになっていない部分があります

それがクレーム対応で最も重要ポイント、「原因」です。

クレーム対応とは、即ち、この「原因」を読み解くことが全てといっても過言ではありません。

今回の方のブログを拝見すると、この原因部分がまだ解決されていない印象を受けました。

それは、「もらったチケット特別ものである」という誤解です。

他の方の反応を見るに、このチケットにはそうした特別能力はなかったようです。

その誤解が解決されないままに、いくらディズニー側が解決手段提示したところで、当事者としては納得ができるわけがないのです。

なぜなら、自分被害責任は先方にあるという誤解が解決されていないからです。

本来クレーム対応するにあたって、こうした「相手の考える原因」を紐解くことが真っ先に求められます

そのためにヒアリング技術などを用いて、まずは相手の話を聞き出すことが必要なのです。

今回であれば、このチケット特別ものではないという誤解を解くことが、まずはこの対応において再優先になります

しかし、ここで相手方の無知調査不足を指摘するようでは、さらなるクレームに火を付けてしまます

ここは解決を優先させて、説明責任が不足していたことに原因をシフトさせる必要があります

当方説明が不足しておりまして、誠に申し訳ございませんでした。大変恐れ入りますが、当チケットは入場規制が発生してしまった日には入場することができません。誤解を招く結果となってしまい、誠に申し訳ございませんでした。」などでしょうか。

ここで大切なことは、できないことはできないとはっきりと相手に伝えることです。

ここに少しでも緩和の余地があると、相手に食い下がるポイントを与えてしまうことになります

これによって、「当日入れるはずのチケットで入れなかったことに対する被害」を、「当日入れると思い込んでしまった勘違い」にシフトさせることができました。

そうなれば、もともとあった「その日に入場できないとおかしい」という要求意味を成さなくなります

これによって、本来問題に対する解決は、「チケット説明不足に対する謝罪」、もしくは「それに見合う対応」に変わるわけです。

説明不足(ただし、ある程度説明責任を満たしていたとして)、もしくは当人勘違いが原因となれば、本来あると思い込んでいた当日入場できる権利は行き過ぎた要求になります

それでもなお要求が続く場合は、今度は過剰な要求に対する対応へとシフトすることができるようになるわけです。

ただ、今回の件に限っては、何故入場制限必要なのかというポイントに対する説明も不足しているように感じられました。

ここにも原因に対する勘違いがありそうなので、説明があると解決が早まったように思えます

お客様に快適に楽しんでいただくために、一切の例外を作らず対応させて頂いております

「これだけの混雑ですので、小さいお子様をお連れの場合であればむしろ入場をすすめることはできません」

警察から指導のもと、パーク内でのお客様安全を優先することが義務付けられています

「何かしらトラブルが発生してしまえば、今後さらに厳しく入場制限を設ける必要が発生してしまます」などなど。

実情は知りませんが、あくまサービス提供側の都合ではなく、お客様のためにあるルールであることが伝わると良いのだと思います

さて、今回に限っては、当人を後に引けなくさせるもう一つの要因がありました。

もしここまでにこの要因を見抜けた人は、クレーム対応においてかなりの才能があるといっていいと思っています

それは、家族存在です。

もし、本人だけであれば、この方はこれほどまでに食い下がることはなかったかもしれません。

人知れず一人で恥をかいたならば、こっそりと身を引くことは容易いからです。

しかし、今回はこのまま引き下がれば、家族の前で大きな恥をかいしまうことになります

文章の内容から見るに、そのことは彼の中で絶対に許されるべきことではなかったのでしょう。

例えばここで、パークの説明員(しかもそれなりの責任がある人物)が、家族の前に立ち、説明不足を謝罪していたら解決はもっと早まったかもしれません。

なぜなら、それによって自分の力で謝罪させたという男性メンツが保たれるからです。

こうした相手が引き下がれなくなった理由を素早く見つける能力は、クレーム対応において非常に優れた能力であるといえます

まとめるとこんな感じです。

・先方の主張する被害要求にこだわってはいけない

ヒアリングから原因を読み解き、全てを聞き出した上で間違っていれば正しい原因へと導く

・正しい原因から被害に対する誤解を説明し、適正な被害とそれに対する解決策を提示する

・この時、相手がなお元の要求にこだわる場合、過度な要求として態度を改める必要がある(第三者が介入した時に有利になる)

・相手の要求を断る理由勘違いがあれば、その部分も解決する

・一連の内容以外、相手が引き下がれなくなっている理由があれば、察知して解決策を提案する

ルールを主張する場合、それは運営側の都合ではなく、あくまお客様権利を守るためであることを前提として説明する

当然実際のクレームは、簡単にフローチャートでわけられるようなものではありません。

しかし、こじれてしま理由ほとんどは、原因を共有しようとせず被害要求にこだわってしまっていることも事実です。

クレームを訴える側は要求が正当だと信じ、クレーム対応する側はクレームが不当だと戦うことになってしまうわけです。

そんな平行線議論をいやというほど見てきたはずです。

被害責任がどこにあるか。それによって相手の要求がどこまで現実的であるか。

クレームの解決において、両者がその部分をどこまで正しく共有できるかが最も重要ポイントといっていいと断言できます

尚、クレーマー要求を通すための常套手段に次のようなものがあります

・解決にかかった時間をどうするつもりだ。

・次の予定までに時間がないのだから、すぐに判断しろ

今回も数時間無駄にしたことが言及されていましたが、全てとは言いませんがこれらの都合は先方にあります

諦めなかったのは先方ですし、予定があるのも先方の都合です。

それによってクレームを受ける側が態度を変える必要はありません。

そんな要求に屈することなく、勇気を持って毅然対応してもらいたいと思います


蛇足ですが、例えば今回の例に限っては、後日利用できる日付確定型の入場チケットに変えることが妥当なところではないかなと思いました。

さて、運営側として読まれる方も多いかと思うのでここで忠告を一つ。

ルール約束。破れば信用を失います

クレームを解決するにあたって、ルールを主張することは大切なことです。

しかし、解決を優先するあまりにその都度ルールを変えてしまうようでは、それだけ信用を失うことを意味しています

クレーム対応組織を成長させるものとして、不明瞭な部分を明確にするために役立てるのがいいのではないでしょうか。

パチンコなんかで言うと理不尽要求なんて日常茶飯事なのですが、それが理不尽かどうかはその時点ではこちらの視点しかないわけです。

たとえそれがどんな要求であれ、まずは原因を紐解かずして解決はないと言えるのです。

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