2015-09-13

なぜ日本国内物理学論文数は減少しているのか

http://blog.goo.ne.jp/toyodang/e/66fda06802e29f013e26f5d41f769b01

実験物理学を専攻している修士課程学生の目から見て、考えたことを書いてみる。

日本国内における物質科学物理学系の論文数が、先進諸国の傾向に反し減少傾向にある要因として、

冒頭に引用したブログの著者は、「大学研究従事者数および研究時間海外諸国に比べて少なく、かつ減少していること」と、

財務的には大学への基盤的な公的研究資金の減少の影響が大きいこと」の二点を挙げている。

これは確かにその通りだが、特に物質科学工学分野が苦境に立たされている理由は他にもある。

端的に言うとそれは、物理学系の研究室において、実験技術に特化し、もっぱら実験作業とその指導をおこなうテクニシャンが、

多くの場合不在だからである修士課程学生は、試料作製・測定系の立ち上げ・および測定と解析・

ディスカッション学会会議での発表・論文執筆を一通り経験するのが望ましいとされている。

研究において、そうしたすべてはどれひとつとして欠かすことができない大切なものであるし、なにより修士課程目的は、

(少なくとも日本においては)研究成果を一つでも多く挙げることよりも、広汎な技術を身につけることにあるのだから

それ自体に目くじらを立てる必要はない。問題は、しばしば博士課程の学生教員でさえ、オールラウンダーとして、

ひとつ研究におけるすべてのフェーズ担当することが求められるために、研究活動における分業体制がいっさい確立していないことにある。

旧帝大などの研究大学でさえ例外ではない。ひょっとしたら、これを美徳だと考えている研究室もあるかもしれない。

これは、学部生と修士課程学生に対する教育指導に歩調を合わせて研究遂行していく、国内大学の慣習とも深く関わっていると考えられる。

このことは決して悪いことではないのだが、研究成果を挙げる上では恐ろしく効率が悪い。

効率を上げて研究のサイクルを早く回すために、テクニシャン重要役回りを果たすはずなのだが、

実際は、上級大学院生助教が片手間にその仕事中途半端に請け負う羽目に陥っている。

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