2015-08-18

声優さんラジオについてな

http://togetter.com/li/853162

声優ラジオ台本に「以下10フリートーク」って事例沢山あるのかなあ。まあい殆ど無いとしても『それが声優!』であったからという理由で多発するようになっちゃうんだろうな。それが許されることとして描くとそうなっていきやすくなるんだよね

一応業界からこの辺周辺に対する意見な。

そういう台本は実際になくはないんだが、だとしてもそれがすなわち悪である、許されてはいけないというわけではないんだよ。

様々なパターンがある。

そもそもの台本ってのは成果物じゃないんだよ。成果物ってのは音声であってこれをラジオとして放送するわけでしょう。その放送音声すらも収録したもの編集して効果音をつけて流すのが前提であって、台本っていうのはその過程一時的必要とされる介助でしかないし、そこに絶対ルールはないんだよ。

例えば、台本には「以下10分フリートーク」と書いてあったとしても、別紙で「想定される話題」などが用意されてる場合すらある。台本ってのは現場構成要素の一部なんだよ。

もちろんただのぶん投げで声優さん一方的負担を強いるような現場ってのは存在する。でも、かといって、「以下10分フリートーク」って書いてある台本がそのままぶん投げの証明とはならない。

声優さんある意味声を売る仕事だけど、だからといってスポンサーなり脚本意向で何喋らせてもいいとは思ってなくて、そんな事をやっていれば最終的な成果物(この場合ラジオの音声)もそのラジオを含むプロジェクト全体のクオリティも下がると、普通放送作家なり脚本なりPは考えてるよ。

声優さんプライベートでも嫌いなものや興味のないもの指定して、それを台本の指示に従ってフリートークしろってかいたとしたって、その番組面白くならないのは想像がつく。

台本に「以下10分フリートーク」と書いてあったとしても、普通放送作家なら、収録前の打合せで「最近何して遊んでますか?」から始まって「今日はどんなフリートークしましょうか」「そのネタ面白いですね、拾っていきましょう」「じゃあ、そこでBさんのモンハンの話につなげて」みたいな打合せをやってるんだよ。まずは、それが基本の姿だって認識はあってほしい。声優さん台本のぺらの「フリートーク」の部分に話題として使えそうなネタメモをして収録に挑む。

(余談だけど、この打ち合わせが盛り上がりすぎて、本収録よりそっちの方が面白かったなもう少し打ち合わせは抑えていくべきだったなあ。とかもある。声優さん役者さんによっては、打合せで綿密に話題確認をしておいた方が本番でイイ人もいるし、逆に打ち合わせでしゃべりすぎて本番が二週目になると輝きが減る人もいる。プライベートについて絡んだ話題のほうが面白い人もいるし、あくま仕事範囲内で話題をあつめててプライベートの話は嫌な人もいるし、それぞれNG話題もある。その辺の声優さんの都合、相性の問題スポンサープロジェクト)の意向、全部ひっくるめて番組の打合せをするのが放送作家本来仕事で、台本はその準備のひと手順なんだよ。関連会社の事前チェックをとるために大事儀式ではあるんだけど。)

以上が「本来現場の姿」であって、でもしかし、声優ラジオは増えた。FM深夜番組だけじゃなく今主流はWebラジオだし、アニメ映画なんかのプロモーションとして番組も爆発的に増加した。メディアミックスにおいて多数の入り口を作るのは戦略の基本だし、声優ラジオは(コミカライズノベライズにくらべれば)短時間に作れて、予算や手間もさほどかからない(ということになっている)。

経験の浅いスタッフも増えたし、声優さん側に分投げになっている現場も、悲しいけれどないわけじゃない。たぶん増えてる。それは確かにブラックだ。

(また昨今、声優さんというもの立ち位置も「ただ声を当てる職人」ではなくて「あるプロジェクト(主にアニメ番組)の代弁者広報役」として期待されるようになってきた。期待されてるっていうのはそういう声優さんの方が仕事取り易いし重用されるし出世するということで、はっきり言っちゃうへぼ放送作家声優負担の高いへぼ台本を書いてきても、それでも面白いフリートーク番組を作れる声優さんのほうが需要がある。)

でもだからと言って「以下10分フリートーク」という台本存在声優ぶん投げではない、というのがこの記事趣旨だ。声優さんの選定やスタッフの相性まで考え、一番重要な打合せを含んだ総合的な現場構築が面白い番組バックグラウンドであって、台本というのは皮相な一部なんだ。

願わくば面白い番組が一個あった時、その背景に思いをはせて評価してあげてほしい。評価の中に「あれは多分現場雰囲気がよかったんだな」とか「番組企画が毎回よかったな」(企画によっては普段口数の少ない声優さんが楽しくしゃべってくれるとかもある)みたいな価値観が全くないとすれば、放送作家なり現場のPなりはいてもいなくても一緒の存在だということだ。結果、そちらには予算評価もながれず押し付けられた素人けが素人仕事をすることになってしまうだろう。そして声優さん負担を全部押し付けることになり、誰も得をしないギスギ現場だけになってしまう。

――というのを現場からのレポ的な何かとして書いてみたよ。

  • 浅野が響当千で自らフォローしてたのに ・完全台本の方が辛い ・10分喋らされたところでつまんなかったら必ず編集されてそれなりの形にしてもらえる ・逆に言うと生放送で10分喋れだ...

  • プロが業界物フィクションを根拠に発注するなんてアマチュア丸出しの所行をするわけもなく、元ツイートは妄想でしかないんだけど、おかげでこういう増田が読めるありがたさよ。

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