2015-08-05

アラフォー男の恋心

 吐き出さずにはいられないから吐き出したいと思う。読みにくい文章になってしまうかもしれないが、勘弁して欲しい。誰かにこの文章を読んで欲しいのかどうかもわからない。

 私は、アラフォー男性だ。昨年結婚した。アラフォーの既婚男性というとおっっさんを想像するだろうが、見た目は若いし、そこそこいけてるんではないかと思う。いや、そこそこいけているかどうかの判断は人によって意見が分かれる所だろうが、少なくとも自分ではそう思っている。

 見た目もそうだが、気も若いほうだし、我ながら、自分と話をしてくれている人たちは楽しんでくれているようにも思う。

 数ヶ月前から恋をした。もちろん妻ではない女性にだ。

 もともと、我が夫婦の間では、「本気にならない」「病気を持って帰らない」「迷惑はかけない」などのルール常識(?)を守った上でなら、浮気結構という共通認識があった。そのあたりは、端から見ればおかしく思われるんじゃないかというほどの真面目なミーティングで決めた。

 だから、それなりに肉体関係だけの相手は複数人いた。いわゆるセフレというやつだ。ルールを守った上で、薄々感づかれながらも上手くやれていた。でも、今回は違った。

 相手は20と少しという年齢。さすがにそこまでの年齢差で性愛感情を抱く相手には出会ったことは今まで無かった。

 そもそもは盛り場での出会いであった。バー(ガールズバーキャバクラなどではない普通のバー)でバイトをしている子だ。最初のうちは顔見知りという程度であったが、次第に距離が近づき、LINEで会話をするようになり、二人だけで食事に行くようにもなった。楽しい時間だった。とにかく楽しい時間だった。こんな気分を経験したのは、おそらく学生時代以来だと思う。

 変な拍子に始まった猥談から、お互いのセックス感、恋愛観、交友感なども意見が合うとわかった。ステディ関係以外にも、セックスだけの関係はあっても良いだろうということだ。「できる」と思ったし、とにかくその子としたかった。

 ちょうどその頃、ネットで心に響く文章を見つけた。よしもとばななの『とかげ』からの一文だ。

" どうしてもどうしてもさわりたくて、気が狂うほど、もういてもたってもいられなくて、彼女の手に触れることができたらもうなんでもする、神様

 そう思った。そう思ってした。自然も不自然もない。せざるをえない。思い出した。本当はそうだった。何となく気があるふたりがいて、何となく約束して、夜になって、食べて飲んで、どうする?となって、今日あたりいけるとお互いが暗黙の打ち合わせをしてる、というものではなかった、本当はただたださわりたくて、キスしたくて、抱きしめたくて、少しでも近くに行きたくてたまらなくて一方的にでもなんでも、涙がでるほどしたくて、今すぐ、その人とだけ、その人じゃなければ嫌だ。

 それが恋だった。思い出した。"

 二人だけで会話するときは色んなことを相談してくれた。好きな人のこと、その人からは心が離れつつあること。セフレとしての関係は続いていること。また別の共通の友人と最近仲が良く、セックスをしたこと。最近部屋に入り浸っていること。かつて精神を患っていた経験があり、今でもそれを引きずって、一人では不安で眠れないこと。こちらのことを先生みたいだと思っていること、色々してくれて嬉しいということ。好きだということ。したいということ。

 でも、私と彼女の間にセックスは無かった。何度も「しよう」となっていたのに、実際にすることは無かった。キスをしたことはあったが、それ以上は無かった。

 転機が訪れたのは先週のことだ。彼女を自宅へ招いたのだ。もちろん、妻のいない時間に。彼女が食べたがっていた家庭的な献立を用意し、一緒に食べ、その後、映画を観た。観ている最中は手を繋ぎ、頭をこちらの胸元へ預けてきた。

 映画が終わった直後、私は彼女を抱き寄せてキスをした。前回のようなやさしいものではなく、激しいキスをした。もう我慢できなかった。

 彼女は震えていた。私は「そういうタイプの子いるからな?」とだけ考えてキスを続けたが、そのうちに体を離され、行為継続拒否された。

 聞くに、冗談めかして「レイプおじさんだ」と。確かにそうだった。私が悪かった。反省しつつ、また二人でテレビを観たり、軽いスキンシップを図ったりして、その日は別れた。

 その後、LINEでまた「レイプおじさん」と茶化され、やり過ぎであったのかと、彼女の個々との機微を察知できなかった自分を責めた。激しく後悔した。

 次の日、彼女アルバイトをしているお店へ顔を出し、前の日のことを詫びた。そのことは「家を行った私も悪いし」「はっきり断らなかった私も悪いし」などと許してくれたのだが、その後の話の流れから、結局、こちらとセックスをするつもりは無いのか? チャンスは無いのか? と問うた所、「無い」との返答を得た。

 なんとも。私の数ヶ月間はぬか喜びであったのか。激しく後悔した「レイプおじさん」という流れからの、セックス拒否。当然かもしれない。だが、動揺した私は、半泣きになりながら店を後にし、バーを何店か回って、普段飲まない酒を何杯もあおった。ちなみにその子も酒は嫌いだ。「酒なんてこの世から無くなればいいのに」と言い合っていた。その酒を何杯も飲んだ。多分、酔っ払えれば楽になれるかもしれないという思いもあったし、何より、自傷行為だったのだと思う。

 その後、よせばいいのにまた彼女の店へ戻り、「何杯も飲んできた」と言ったのち、さらに何杯も注文した。

 最悪だ。自傷行為を見せつけているだけだ。その場には、彼女セックスをしたという共通の友人もいた。どれほど最低でみじめなな気分かわかるだろうか?

 ほどなくして自宅へ帰り、半泣きになりながら就寝。数時間後には起床して、彼女LINEを送信していた。「最悪なことをした」「許して欲しい」「あなたには大変なことが色々あるだろうに、とにかく申し訳ない」「でもまた一緒に映画を観たりお話したりしたい」と。

 音沙汰は無かったのだけど、数時間後、少し長い文章が帰ってきた。「そんな人だとはおもわなかった。見損なった。しばらく連絡は控えて欲しい」とのこと。

 そりゃそうだ。私は最低な事をした。道義的にも最低で、行動の選択としても、一番してはいけないものを選んだ。

 耐えられなかった。10数年ぶり、20数年ぶりにした本気の恋が破れたのだ。耐えられるわけがない。そこでまた、私は間違った選択をした。妻に、洗いざらい告白をした上、許しを請い、彼女を裏切ったことを後悔していると告白し、今いかに自分が傷ついているか吐露し、嗚咽しながら助けを請うた。

 妻はとりいそぎ許してくれた。もちろん「本気にならない」というルールを犯したことなどについてはひどく失望していた。20前後の年齢差がある若い女の子を傷つけたことなどにもあきれていたが、とりいそぎ許してくれた。

 どころか、傷ついた私を元気づけようと、遊びに行く提案をしてくれたり、精神の持ちようを指南してくれたりもした。

 私は本当に最低だ。本当に本当に最低だ。その日は二人で泣きながら眠った。

 その後、私は彼女のことを忘れたれたかというと、そんなわけはない。今でも恋をしている。断られたのでLINEをすることはないが、彼女の店へ行ったりしている。そこでは楽しく会話できている。彼女本心はわからないが。

 先ほどは別の店で彼女の姿を見た。彼女と、彼女最近部屋に入り浸っているという共通の友人と一緒に楽しそうにしていた。気持ち悪いだろうが、私は店には入らず、何度か窓の外から気づかれないように姿をうかがっていただけだ。

 覗くこと何度目か。彼女ら二人の姿は無かった。今どうしているのかは知らない。ただ、とにかく悲しくて、悔しくて、情けなくて、やりきれない。

 今、私が文章を書いている隣の部屋では、妻が寝ている。今月中頃には計画的小作りを行う予定である。以前から決まっていた。

 今はとにかく悲しい。

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