2015-03-15

進撃の巨人関西弁版)」が関西人に受けないわけ

私は関西人だが、「進撃の巨人関西弁版)」が想像以上に詰まらない。

そして、たぶん、編集者の(おそらく関東の)方は、こういう意見を読んでも、「要所要所にキツい大阪弁ジョークを交えて、関東人向けにしてるから、それは仕方ない、というか狙い通り。ぶっちゃけ関西人向けに作ってませんしww」と思ってるんだろう。別にそれは分かる。けど、残念ながら、違う。

下の引用元増田は、関西人で、かなり苦しい思いをして「いいトコ探し」をしてくれたようで、それにはおおむね納得する。よいシーンもある。つまり、このコンテンツは、やり方次第では十分「関西人の笑いも誘えた」もののはず。にもかかわらず、現状は、おそらくほとんどの関西人が数ページ以上読み進められないようなひどさに満ちたコンテンツになっている。それはひとえに、もちいられている関西弁が微に入り細を穿って間違いに充ちているからだ。ネイティブなら一行毎に違和感しか覚えないようなひどいコンテンツからだ。

ちなみに、こういうことは今に始まったことではない。というより、東京発の関西弁含みコンテンツでまともな関西弁が用いられている作品は、映画ドラマ等を通じて何一つ無いと言っても過言ではない。

その原因は、近年益々ひどくなる東京人エスノセントリズムのせいなのか、それとも単なる知的レベルの低下なのか、コンテンツ生産力の低下なのか、いずれにせよ、東京人いつまでも東京人しか楽しめないコンテンツを作っている現状を恥ずかしく思ってほしいと思い、あえてツッコむことにした。無粋は許せ。

というわけで、以下、「進撃の巨人関西弁版)」の、関西ネイティブによる修正案を提示する。ちなみに、こうやったら東京人には面白くねえんだよ、という意見却下する。東京人だって、嘘標準語東京人東京弁バカにされてるジョークを見聞きしたら、いい気分がしないだろう。

「その日関西人は思いだした」

関西人自分を「関西人」と言わない。○「その日ボクらは思いだした」

※なお、「ボク」の発音は「_↑(四声(中国語)で言うと2声)」

「ヤツらにキャン言わされとった恐怖を…」

元増田も書いてたとおり「ヤツら」とか言わないし、「キャン言わされる」もチンピラ関西弁なので、普通は使わない。また、「恐怖」といった熟語口語では避けられやすい。○「あいつらにびびらされてたその恐さを…」

※「これでも関西弁的には意味不明に近い。本来あいつらの怖さ(ヤバさ)を…」で十分。

「鳥籠ん中に閉じ込められとった屈辱を…」

↑鳥籠のあとの「の」は音韻変化しない。a、e、i+「の」はang、engingとなりやすいが、(例)「頭の中→あたま(ン)中」、u、o+「の」はung、ongとはなりにくいようだ。例外として、あとに母音が来る際は、その母音を含めて置き換えるケースがある。(例)「よその家(うち)」→「よそ(ン)ち」。また、「中に閉じ込める」といったもってまわった言い回し関西弁では避けられると思う。○「鳥籠に押し込められとった屈辱を…」

「やったるで」

↑これは微妙ながら誤訳と思う。やったるでは「I shall do it.」だが、このシーンは「We」じゃないとおかしいのでは?

○「やんぞ」

目標は一体や」

↑惜しい。が、こんな緊迫したシーンで、語尾に「や」をつけるのは過剰。格助詞「は」も過剰。

○「目標、一体!」

「必ず仕留めるで!!」

こういう言い回しはしない。失敗には突っ込むのが関西文化なので、「必ず○○せよ」でなく、一般には「絶対○○という失敗はするなよ」という言い回しが多用される。(その方が「○○すんなゆーたやんけ!」と後で突っ込みやすいため。)○「逃がしなや!!」

※(例)「仕留めるぞ→失敗→どうして仕留められないんだ!(半ギレ)(→…=救いがない)」「逃がしなや!→失敗→何逃がしてんねん(→す、すんまへん=救いがある)」ということです。ね?

「……」

関西人はこんな美味しいシーンで絶っっっっっっ対に無言にはなりません。

○「…っぅわ!または「ちょっ、zqあwxせdcrfvtbgy」

目標との距離400!!」

目標との」っていりますかね。いらん気がしますね。いりませんね。省きますね。

めっちゃこっちに向かって来てます!」

ギャグで言ってるならアリですが、ギャグでやってたら殴られます。「めっちゃ」というのは、あまりシリアスなシーンで使う言葉ではないですね。まあ関西人シリアスなシーンというのがあれば、ですが。というわけで、○「こっち来ます!」「来てます」の方が緊迫感あるかな

…というわけで、便乗ネタミニ関西弁講座でした。いかがでしたか

こんなわずかな言い回し一つで、ネイティブとそうでない話者との差って、出るもんなんですね。いい勉強になりましたね。

そんじゃーね

http://anond.hatelabo.jp/20150314110917

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