2014-10-30

上限の月をくらう36

今日は定時で退社した。急に仕事が遠く感じたからだ。公共系の基盤構築の部署に来て5年。提案書書いて、構成見積もって、構築設計して、提案して、調整して、協力会社面接して、振って管理して、中途の履歴書みたりリクエストだしたり。あいあいまに終わらない打ち合わせをしたり、調整したり。なんだよ調整って。

毎日22時。単に今日タスクが終わったからじゃなくて22時だから帰る。それだけのことだった。この時間だとアキバでも人が少ない。いつもいつもアキバが目覚める前に出勤して、眠ってから退勤する。休みの日にアキバなんて御免だから、ここで働いているのにずいぶん遠い街だ。

時間の上限なんてもう抵触しない月がない。産業医面談にいけないくらい拘束時間が長い。そっちからこい、と思うのだが。「面談があるので休みます」とか申し入れると「そんなの行かなくていいよ、俺は行かなかった」と上司が言う。なるほどこれは改善の望みはない。周りの誰もが同じ条件だから奇妙に思わなかったが、異常ではあるのだろう。異常の中では異常とわからないだけだ。

外に出ると三日月。空を見たのも、月を見たのも、下をみずに歩いたのも久しぶりだった。これはまちがっているのだろうか。だとしたらどこでまちがったのだろうか。俺が何かを決めたのだろうか。選んだのだろうか。意味もなく浅草橋まで歩いて考えた。パチンコ屋の脇をぬけ、飲み屋街をひやかし、ファミマを横目に、陸橋をくぐる。そのうち浅草橋に着く。そこからいつもの電車にのれば帰路だ。

なにをしに家に出勤するのだろう。職場にいる時間のほうが長いのだから、あっちが俺にとっては自宅なのではないだろうか。読みもしない本ばかりが積まれた俺の部屋。もうずいぶん自宅でなにかをした記憶がなかった。週末は休みなのだ土曜日はまず仕事だ。帰ってきたら寝る。

そうだ寝るだけだ。だとしたらもっとやすいところにしないといけない。寝るしかしない場所なのだからもっともっと特化しなければおかしい。寝るだけの場所なのだから

寝るだけの。

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