2014-09-26

「ゆるい就職」に関する違和感と羨望と諦め

ゆるい就職ブコメの反応みてなんか、もんにゅりとしたから、

ひとり酒しながら考えて最終的に諦めたことを書いてみる

収入の少なさは、批判しづらい

ゆるい就職は、週3日勤務で月収15万円(派遣手取り12~13万)なライフスタイルだそうだ。

そうすると、今の日本で、比較昭和小市民的な幸せを築いている家庭ほど、批判しづらい。

なぜなら、住宅ローン子供養育費だ、学費保険だ老後資金だと言って着実に生活すると、

自分自由に使える金額は少ない。

お父さん小遣い月1万です、とか良く聞くね。

ゆるい就職の方が、2万(= 手取り13 - (家賃6+光熱費1+食費3+携帯1) )と多いかも知れない。

親が死んだら手取り13万でどうやって生きてく気?

http://tm2501.hatenablog.com/entry/2014/09/26/000000

こんな強い口調で言われると、言葉に詰まる。

「オマエ、今の会社クビになって、家族が守れると思ってんの?」

と詰め寄られているような気になるからだ。

このご時世、正社員もいつどうなるか判らない。

ライフスタイルは、否定しづらい

比較的オッサンなので加齢臭っぽいことを言うと、

独身貴族とか、DINKSというライフスタイル(?)がある。

まあ、オッサンの頃の独身貴族定義は、今だとパラサイト・シングルとか言うのだろうか。

独身で、趣味に金や時間が使える。

夫婦共働き子供が居ないので、自由時間や使えるお金が多い。

何れも、揶揄や羨望の混じった生暖かい目線が送られてきた。

彼ら彼女らは、結局のところ、配偶者を食わせなくて良いから子供を育てなくて良いから

自由時間お金が多い、というところが良い、とされてきたワケだ。

この、「自由時間」を増やして「お金が多い」を減らします、と言うライフスタイル

否定しづらい。DINKSの友人も居るし。

感じる違和感と羨望

ブコメの反応で感じた違和感を突き詰めていくと、

結局のところ、諦めることで余裕を生んでるということに気がついた。

独身OLまずりんの提案した「ギブアップ制度」にすごく似てる。

もう、結婚子供を持つことも、老後の暮らしも諦めるからギブアップで!という。

さっきも言ったけど、家庭を持つお父さんの小遣いは少ない。

独身貴族パラサイト・シングル)は自由になる時間お金も多い。

まり、その中間にいるわけだ。

家庭を諦めて、貴族であることを諦めて、独身よりも多い時間と、お父さんより多い小遣いを貰う。

ちょっとだけ羨ましい。

「ゆるい就職」に感じる諦め

彼ら彼女らには、きっと「未来」が無い。

老人が医療を食いつぶしていると言われながら、

年金受給開始年齢はどんどん引き上げられていく。

かといって、特殊技芸技能があるわけではない。

誰もがアイドルにはなれないし、これといった夢もない。

無職モラトリアムを続けられるニートほどには堕ちてもいない。

何かを極めたいという焦燥に身を焦がすこと無く、アスリートでもなく。

この間まで盤石に見えた企業が舵取りを間違えてリストラをし、

うかつに忠誠を誓えば、会社精神破壊される。

から、諦めた。

少なくとも、諦めた人にとっては理想的ライフスタイルに見える。

あえて触れなかった「ティモシー・フェリス」について

ティム2007年に『「週4時間」だけ働く(The 4-Hour Workweek)』という本を書いて、一躍有名になった。

はてブにも読んだ人がいるはずだ。忘れてるかもしれないけど。

題名だけ見るとより過激に見えるけど、実態は間逆だ。

ライフスタイルにおける、選択と集中

例えば「ミニ退職」と言うのが出てくるが、かなり惹かれる。

定年後にやりたかったことを、今、やってしまう。

航空券の値段を調べ、貯金をみて、上司を説得して一ヶ月まるまる休んで旅に出てしまう。

老人になる前に、若者壮年の間に、やりたい事をやらないでいる理由はなんだ?と言う。

なぜ触れなかったかというと、これは「希望」の先取りだからだ。

「輝けるリタイア後の生活」を先取りしない理由はないよ、という提案だった。

でも、「ゆるい就職」は違う。彼ら彼女らには先取りしたいリタイア後が無い。

豊かではないが豊かな社会

老後の資金を溜める気力もわかないし、

頑張って会社にしがみついたところで、いつリストラされるかも知れない。

叶えたい夢も無ければ、やり遂げたい志も無い。

じゃあ、フリーターよりもカッチリ契約で区切って、週3回働けば良いんじゃね?

というのは、多分すごく魅力的に見えると思う。水は低きに流る。

そしてきっと、そういった人が実際にどん詰まるのは、

老々介護問題になるような、青春を終え、壮年を終え、老年差し掛かった頃なんだと思う。

冷静に考えて、20歳若者の父親が45歳だったとして、平均余命から見れば親父は80までは死なない。

平均的な親父が死ぬのは、平均的な息子が55歳の時だ。

50歳時の平均未婚率を、生涯未婚率と言う。つまり、もうタイムアップだと社会的に宣告される。

夢も希望もなく消費するだけの「ゆるい生活」なら、充分な時間じゃないだろうか。

そして「平均じゃなく親父が死んだら?」は「平均じゃなくリストラされたら?」と置き換え可能なのだ

(もしかしたら現代の『漁師コンサルタント』なのかも知れない)

まとめに代えて

「ゆるい就職」の話題は、賃貸と持ち家の話と、なんとなく既視感を感じる。

だって正社員からと言ってその会社内のノウハウが蓄積されるだけの人だっているのだ。

子供が出来て家庭を持って、給料が低いとなじられながら、家に居場所がない父親もいる。

「ゆるい就職(週3)」は、「キツ目の就職(週5)」に簡単になれるだろうけど、

正社員は、緩めの正社員には簡単になれない。(短時間勤務が無理だとは言わないけど)

正社員になったところで、技能は身につかないと諦めて、

家庭を持ったところで、幸せにはなれないと諦めて、

ゆるゆるとネットゲームアニメに没頭しながら、

ただソコに「なう」けがある消化試合をこなしていくのには、少し憧れる。

「なう」は古いか。

  • 安楽死制度は遠くない将来に絶対に導入される。戦争してでも導入せざるを得ないだろう。 だから底辺としてごくたまにはうまいもん食えるくらいの感じで何とか生きて足腰立たなくな...

  • たしかに、「老後の先取り」ってのは言い得て妙だな。 フィナンシャルプランナーとかああいう商売の人たちは口を揃えて 「老後に豊かな生活ができるように備えろ」って言うけど、 ...

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