2014-05-02

東京23区と政令市地方との図書館格差

http://anond.hatelabo.jp/20140502221658

読破したのは、薬師院はるみ「名古屋市の1区1館がたどった道」という本だが、

 このタイトル自体東京23区居住者には違和感がある。

 というのは、名古屋横浜大阪のような政令市では「1つの区に1~2館」というのが実情だが、東京23区では

 「区内で7館とか10館」というのが、ごく当たり前の状況になっている。

 

 政令市だと「図書館から半径1キロ圏内の人口より、半径1キロ圏外の人口の方が多い」、

 つまり図書館が徒歩圏外にしか存在しないエリアの住民の方が多い」のだが、

 東京23区では「図書館から半径1キロ圏内の人口の方が、半径1キロ圏外の人口より多い、

 それだけ図書館網が区内をくまなくカバーしている」状況である。 

 東京23区の図書館環境に慣れてしまった身には、政令市図書館状況というのは「まことにお寒い状況」に見えてしまうし、

 おそらく図書館利用率も、徒歩で図書館アクセスできる23区と、そうでない政令市では、全然違っていると思う。

 ましてや、図書館が整備されてない通常の市、或は郡部とでは、利用率は月とスッポンだろう。

 多分、23区住まいの方が、読書欲が多く、かつ経済的にも余裕があって、

 本来なら「小説家にとって、お客様を多数抱えているハズの商圏」なんだが、

 そういうエリアでくまなく図書館ネットワークが構築されちゃっているから、小説家の怒りも相当なんだろう。

★あと、「住民1人当たりの図書館館数1位は富山県だ、だから富山が進んでいる」という言説があったが、

 これには違和感がある。

 

 利用者にとっては、人口当たりの館数なんていう数値はあまり意味がなく、

 「徒歩圏内に図書館があるかどうか?」それが大きいと思う。

 

 クルマを運転できる大人なら徒歩圏云々はあまり関係ないが、クルマ自力で運転できない小中学生にとっては、

 「徒歩圏内に図書館があるか否か?」は、「図書館を気軽に利用するようになるか、否か?」の分水嶺になってしまう。

 その意味では「徒歩圏内に図書館サービスが行き届いている23区が、圧倒的に進んでいる」と思う。

名古屋図書館整備の歴史より、

 「なぜ東京23区は、ここまで図書館王国になったのか?歴史的背景は何か?」

 という歴史の方が、はるかに興味深い。

図書館プロって、この「徒歩アクセスできるかどうか?」の観点をあまり重視してないような気がする。

 図書館関係者って、「図書館が果たすリファレンス役割」とか、とかく大上段に構えがち。

 でも、図書館利用者の9割は、そういうことを気にせずに、「タダで本を読める、読書欲を満たせる」という単純な理由で

 利用していて、図書館関係者の高尚な想いと、ズレてる気がする。

 だから図書館関係者が「図書館役割向上」という場合

 「リファレンス機能の向上云々」という話に飛んでいくが、

 利用者目線だと「徒歩圏内にサテライト館が欲しい、貸出冊数・期間を拡大してほしい、開館時間を延長してほしい」

 という利便性の話になっちゃう。

 この辺の意識のずれは、何とかならないか?

★そもそもレファレンス機能アーカイブ機能は、国会図書館都道府県中央図書館が主に担えばいい話であって、

 市区町村図書館、それもサテライト館は、とにかく利便性向上につとめればいいのでは、とも思う。

 本を読む、という場合

 1.明確な目的意識で、何等かの調査をする場合

 2.なんとなく、読書欲を満たしたい

 という2つがあって、1.の場合レファレンス機能アーカイブ機能重要になる。

 また、蔵書数は多ければ多い方がいい。

 (逆に利便性はさほど問われない。閉架や禁帯出でも仕方ない)

 でも2.の場合は、他館からの取り寄せ機能さえしっかりさせておけば、

 蔵書数にはこだわることはない。リファレンス機能もあまりいらない。

 それより利便性が命になる。

 プロは1.ばかり見て、市民は2.を渇望している。

記事への反応 -

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん