医者:次の方、どうぞ。
医者:どんな症状なんだい?
患者:最近、ずっとある事ばかり考えて何も手につかないんです。
医者:ほう、ある事?
患者:はい、TVなどでも話題になってるあのOさんの事件についてです。
医者:なら何故Oさんの事件についてそんなに気になるのだい?
患者:はい。なんというか、衝撃だったんです。あの衝撃的なねつ造に加え、
髪をバッチリと巻き巻きにして、涙を流す為にあえてマスカラをつけないで登場した記者会見、
そして嘘の上にさらに嘘を重ねられる、自動車のタイヤよりもはるかに分厚い強靭な心臓。
どれをとっても僕には衝撃的過ぎたんです!
患者:ダメなんです。世の中の見てはいけない部分を見た気がして。
僕はこの先、人生をまともに生きられる自信がなくなったのです。
医者:それは少し考えすぎだよ。
患者:いえ先生、僕が言ってるのはそこだけじゃないんです。もっと本質的なところにも関わってくるんです。
例えば、あの彼女の会見によって、僕のまわりに彼女を擁護する人がたくさんいたんです。
たまたま同じクラスの女の子にその話をしたら、何て言ったと思います?
「みんなで彼女を責めて、いじめみたいだったね。S細胞があるのかわからないのに、何であんなに責められるんだろう」って!
僕は信じられませんでした!同じ知性を持つ人類として、信じられなかったんです。
嘘を見抜けない同じクラスの子もそうですし、嘘の上に嘘を塗り重ねる行為でも肯定されうる、この社会全体に!
医者:確かに我々医師から見ても、彼女は「科学的」じゃないと感じたよ。
でも、そのクラスの女の子の感想も、ある種の人道的な意見のひとつなんじゃないかな?
患者:いえ先生、お言葉ですがこれは違うんです。これは「浮気がばれた芸能人」の謝罪会見じゃないんです!
科学者の記者会見だったのに、「S細胞はとくにかくある」、「不勉強と不注意が原因」、「具体例は出さない」など、
ありえない会見だったんです!
そして、明らかに嘘をついている。成功回数200回ですよ、200回!
TVの中ではその嘘を誰も「嘘だね」とはっきりと言えない空気が流れている。それを言わせない空気が社会には流れているんです。
「100%の嘘だと証明できない事に対して嘘だと思うのは禁ずる」って社会が言ってるんです。
証明されない限り、それは嘘ではない悪魔の証明がそこには含まれているんです。
そして、嘘を常習的についている人間は、世の性善説を利用して「悪魔の証明が必要な嘘」をついて世を渡っていくんです!
これから社会に出なきゃならないのに、あんな人間を相手に仕事をするなんて、僕には到底できない。
まだ家に引きこもっていた方がましだと思うようになったんです!
医者:きみは少し嘘に対して潔癖なところがあるのかもしれないね。
こう考えてごらん?
もしかしたらOさんの頭の中では本当に200回の成功を見たのかもしれない。
細胞の数が200個だったのを、間違えて200回と言っただけかもしれない。
でも、違うんです。僕には「わかる」んです。
Oさんは間違いなく常習的に嘘をついており、それで世を渡ってきた。
性善説な世の中をいいことに、「証明の難しい嘘」をついて勝ち抜いてきた。
そもそも、あの受け答えを見ていると、僕みたいなFラン大学生でも常識でわかる「やってはいけない不正」を、不勉強で知らなかったわけがないんです!
知らずにねつ造をするわけないんですよ!上司の教育の問題とか、そもそもそういうチャチな次元の問題じゃないんです!
「科学のルールを知らなかった彼女の責任じゃない」などと、茶番な台詞を言ってる世の中に吐き気がするんですッ!
教育不足のせいで不正が起こった?いえ、違います!環境のせいではない、この女は生まれついての悪だッ!
医者:こら!何てことを言うんだ!決めつけはよくないよ。真実なんて、誰にもわからないからさ。
きみの思い込みのせいで、誰かを傷つけるかもしれない。
患者:わかります。先生から見たら僕も誰かを傷つける「悪」になるかもしれないんですよね。
ただ、この世の中は、あまりに生きにくいことがこの事件でわかったんです。
医者:きみが少し疲れているのかもしれないね。今3回生?なら就職活動中なのかい?
患者:はい、時期的にはそうです。ただこの事件で全然はかどっていないのですが。
医者:ふむ、無理をしない程度にやりなさい。おくすりを出しておくから、これを飲んでがんばりなさい。
患者:ありがとうございます。言いたいことを吐き出したら、少しスッキリしました。
医者:さぁ、これを飲むんだ。今すぐに!ほれ!
患者:あ・・・なんだか・・・カラダが・・・ほてってきちゃった・・・
とっても熱い・・・
あらヤダ、僕・・・いや、わたし・・・あたし、どうしたのかしら☆
医者:ほら、鏡を見てごらん
患者:!!! あたし、あたし・・・この顔・・・まさか・・・あたしは・・・
医者:そう、きみはS細胞を飲んで、今日からO氏32号となった!31号は記者会見で体力を使い果たした。これからは32号のきみが跡を継ぐのだ!
患者:あたしっ!あたしはあたしになったッ!こうしてはいられないわっ、早く「新しいノート」を作らなきゃっ☆
医者:見事だ、Oよ。4、5冊のノートが完成したら、これから徹底的にR研やマスコミたちと戦うぞ!
fin.
医者:次の方、どうぞ。 患者:先生、よろしくお願いします。 医者:どんな症状なんだい? 患者:最近、ずっとある事ばかり考えて何も手につかないんです。 医者:ほう、ある事? 患...
医者:次の方、どうぞ。 患者:先生、よろしくお願いします。 医者:どんな症状なんだい? 患者:最近、ずっとある事ばかり考えて何も手につかないんです。 医者:ほう、ある事? 患...
http://anond.hatelabo.jp/20140403085206 廃人になる気持ちがわかる。 この2週間、俺も増田廃人になってた。 俺の場合はブコメがどれだけ伸びるのかと、 ブコメでどう反応されるのかが楽し...