2014-04-07

ネット右翼月面着陸

ネット右翼ネトウヨ」なる言葉が語られるようになってからかなりの時間が経ちますが、その間にネトウヨに対する揶揄言葉というものがいくつか生まれ定型化してきました。

(ひと)高間響さん ネット右翼を芝居にした劇作家演出家

http://digital.asahi.com/articles/DA3S11068480.html?_requesturl=articles%2FDA3S11068480.htmlamp;iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11068480

 この記事で書かれている「そんなに韓国韓国って、本当は韓国が好きなんじゃないの?」「偶然日本人に生まれて、日本人という以外誇れることが何もないんだろ」というのはその代表的ものだと言えるでしょう。

 はっきり言ってこういうのはあまり褒められたものではないです。「あなたの言っていることは間違っている」と発言それ自体について反論するなら批判として成立しますが、そうでなく発言の裏にあるもの勝手に決めつけてそれについてあーだこーだ言うというのは単なる揶揄にすぎない。「サヨクは反権力気取ってる自分が好きなだけ」とかそういうのと同じです。

 そしてこの手のネトウヨへの揶揄が孕む問題というのは他にもありまして、というかこちらが本題なんですが、こういう揶揄って「ネトウヨ底辺負け組」という認識が前提になってるんですよね。まさにさきほど引用した「日本人という以外誇れることが何もないんだろ」なんていうのはその典型。

 まあこれも無理ないことで、これまでネトウヨについての分析として「負け組社会への不満が近隣諸国に向かっている」「持たざる者日本人であるということにプライド見出している」というような語りがされることが非常に多かったわけです。

 これについてはいくつか理由があると思いますがとりあえずここではおいておきます

 問題は実際のところどうなのか、です。本当にネトウヨ負け組ばかりなのか。これについては批判的に見る必要があるのでは、と思います


日本型排外主義在特会外国人参政権東アジア地政学― 』(樋口直人)について

http://masterlow.net/?p=1173

 実はここで紹介されてる本は読んでないんですが、興味深かったので少し引用します。

“まず最初の筆者の主張は、「欲求不満を抱え、下方へ転落し、社会の縁辺にある者が担い手になる」というのが誤りであり、さらにそれを社会病理範疇で捉えるのは間違いであるということ。在特会構成員も、桜井誠のように高卒非正規雇用というような人はむしろ少ない。経済的には、どちらかという「中産階級」が多いとのこと。日本在特会の調査でも、社会階層共通点ではなくむしろそもそもあった保守的イデオロギー共通点が特長的。安田浩一が『ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて』 で描く「しんどそうな人々」(経済的精神的においつめられた人)というイメージも無理があるのではないかというところから始まる。”

 

 ネット上でネトウヨ丸出しの発言をしている有名人が何人かいます。「ネトウヨレベル」なんて言われたりしてます身分を隠して匿名で書きこんだらネトウヨしか思われないんで「ネトウヨレベル」ではなく「ネトウヨのもの」です。ではその人は社会底辺なのかというと、東大を出て大蔵省に入って議員になった人だったり航空自衛隊トップ上りつめた人だったり、底辺どころかエリートなわけです。つまりネトウヨになる理由を不満や生きづらさに求めるのはちょっと無理がある。個人的な実感でも「ネトウヨ底辺」という印象はなく、これまで実際に出会ったネトウヨ的な言動をする人の中にいかにも生きづらそうな底辺の人というのはまるでいません。

 おそらく、ネトウヨ底辺説については誤りであると言ってしまって構わないのではないかと思いますネトウヨ若者説についても同様で、世代はそこまで重要ファクターではない。

 そして更に踏み込んで、社会情勢とネトウヨの台頭を結びつける言説自体がそもそも間違っているのではないか、ということをここでは主張したいと思いますネトウヨが増えているという社会の変化を他の社会の変化の反映であるとする発想そのものが間違いである、ということです。心の闇というのも関係がない。


 アポロ月面着陸でっち上げであるという説があります子どもの頃、僕はこの説をテレビで知って、そして信じてました。

 でっち上げ論者はいくつもの疑問をアポロ月面着陸につきつけます。そのうちのいくつかを紹介しましょう。

・月面には空気がないはずなのに旗がはためいているのは何故だ?

・月面で撮影されたはずの写真で空に星がないのは何故だ?

写真の中で影の方向や長さがバラバなのは何故だ? 光源が複数あるのでは?

宇宙飛行士は月面で宇宙服を着たままカメラ操作したようだがそんなことは可能なのか?

・月に行くまでには大量の放射線を浴びるはずだがそれを防護する技術が当時あったのか?

アポロ計画以後アメリカ地球軌道の外に人類飛ばしていないのは何故だ?


 これはほんの一部で月面着陸への疑問点は他にもたくさんあります。ここでは文字だけなのでちょっとピンとこないかもしれませんが、これがテレビ画像映像を参照しながら語られるとかなりの説得力を感じてしまうわけです。そして「月面着陸冷戦の中アメリカソ連に対抗するためにでっち上げものであり月面着陸映像スタジオ撮影されていた!」という結論に「なるほど!」と納得してしまう。一応筋が通ってますから

 念のため断っておくとこの月面着陸捏造説はトンデモの類です。少し調べるだけで上記の疑問への答えは出てきますし、大真面目に唱えたら馬鹿扱いされるんで気を付けてください。

 さて、この月面着陸捏造説ですが、これを信じる人を分析して心の闇だとか社会への不満だとかそういったものが出てくるでしょうか。普通はノーでしょう。これを信じてしまう人は単に騙されただけで、その人が騙されやすいか騙されにくいかというのは関係があるにしても社会がどうのこうのというのは関係がない。騙されやすい人はあらゆる世代階層にいますから世代階層もあまり関係がない。ネトウヨもこれと同じなのではないかと思うんです。

 つまり右派プロパガンダ修正主義デマに騙されたらネトウヨになるという単純な話なのではないか、ということです。

 もちろん、月面着陸捏造説との違いはあります月面着陸捏造説の先に反米感情は用意されていませんが、修正主義デマの先には嫌韓反中感情が用意されています。これはひとつパッケージとしてある。実は嫌韓反中感情があるからネトウヨになるのではなく、ネトウヨになる過程でそういった感情が「注入」されるというのが実際なのではないか、というのもここでの仮説です。

 この感情との結びつきの有無の違いは月面着陸捏造説は広がりを見せないのにネトウヨ言説は広がりを見せるという違いを支えているものだと考えています


 まあなんにしろ、「南京で30万人虐殺されたというが当時の南京人口はそんなにいなかった! だから南京虐殺捏造だ!」とか言い出すネトウヨのことを僕は「大気がない月面で星条旗がはためいている! だからこれは地球スタジオ撮影されたものアポロは月に行っていない!」とか言い出す人と同じ人種として見てますし、「韓国ってこんなにひどいんですよ! ちゃんと勉強してください!」とか言って国民の知らない反日実態とかアフィブログとかのURL貼る人については「アポロ月面着陸捏造なんですよ! あなたは騙されてるんです!」とか言って怪しげな個人サイトURL貼るようなアレなことしてんなあというそういう目で見てますはい

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