2013-12-28

小泉時代企業利益は増えたが給料は増えなかったか企業優先はだめ

funaborista お花畑めざして

http://d.hatena.ne.jp/funaborista/20130720/1374321737

これと同じような論調は色々なところで見かけます。たとえばこちら

http://antimainstreameconomics.blogspot.jp/2013/11/blog-post_6327.html *下注1参照のこと

しかし、このサイトに載っている2つのグラフは、2003年から2007年にかけての企業利益拡大局面おいてなぜ賃金が増えなかったのかを、本人の意図に反して如実に示してくれています

それは、1990年以降、企業利益が増えない時にも賃金の方は高い伸びを続けていたということです。企業にとっては利益から考えて非常に高い賃金を払い続けていたのです。1990年代の終わりにはそれも無理になって利益に対して賃金を減らしはじめますがそれでも高めの水準で、2003年から2007年景気回復局面になってやっとそろまでの無理を取り戻したのです。

企業利益が伸びなくても無理をして賃金を増やしてきた、そしてその後にやっと利益が伸びる時が来たので賃金を据え置いて調整を行ったわけなのに、無理して賃金比率を高めていた時を基準に見て「景気が回復しているのに従業員還元しなかった、けしからん。もう企業は信頼できない。」と言われてはたまったものではないでしょう。

さらに、リンク先のグラフ企業の規模別に利益賃金が出ていますが、この中で2003年から2007年にかけて利益大企業の占める割合が増えています。「大企業内部留保を大量に溜め込んでけしからん」と言われるところでもありますが、大企業のように世界で商売をしている場合には仕方のない面があります

というのも、当時は新興国の発展がめざましかった時期で、それによる需要原油などの資源や、設備投資必要資本財、そして現地の人件費なども速いペースで値上がりしていました。企業が翌年以降の海外での生産活動のために必要となるお金がどんどんと拡大していくことを想定する必要があったのです。そのため、可能な限りは手元のキャッシュを増やしておく必要があり、またそのキャッシュは実際に使う段になっては海外でいろいろなものが値上がりしていたため想定を下回る設備しか作れず、さらに多いキャッシュ必要性が生まれていました。このように大企業も「溜め込んだ」というよりは海外の人や企業に漏出させていました。(これは国民経済計算統計における交易利得の大幅な悪化などから確認できます。)しかし、海外市場に出ないよりは出た方が企業利益になったから進出しているわけであり、それはまた日本にとっても思ったほど手元に残らなかったとはい利益であったのです。



この、2003年から2007年の前には企業は非常に無理をして利益が増えない中で賃金を増やしてきたという事実、そして2003年から2007年における大企業利益新興国の発展にともなう資源価格上昇の備えとして取って置かれ、また海外の人や企業に漏出した事実、この2つを踏まえて考える必要があります。これらを無視して「2003年から2007年企業利益が増えたのに給料還元されなかった、だから企業お金を回す政策はだめだ」というのは近視眼にすぎます

そして2003年から2007年と比べて現在は、利益給料関係は平均的な水準に近いか、やや給料が少なめであり、また新興国の発展も当時ほどの拡大が再度起きる可能性も低い。つまり今回は2003年から2007年と違って早い段階から企業利益を上げれば賃金の上昇につながってくる、「お花畑がある」可能性が高いと言えますバブル後遺症に苦しむ1990年代に無理してでも賃金を上げてきた企業です、大きな障害がなければある程度は賃金を上げたいのです。もちろんそれは企業が優しいからではなく、賃金を上げた方が労働者の意欲を高めたり離職コストを下げられるからしょうが、やみくもに賃金を下げることばかり考えているわけではありません。



*注1

http://antimainstreameconomics.blogspot.jp/2013/11/blog-post_6327.html

このサイト給与総額のグラフ2007年以降の数字が間違っておりますので注意して下さい。2007年以降は給与総額の数字賞与が入っていないために急減し、水準も低いままとなっています賞与を含めた数字と、このサイトにあるような賞与を足していない数字比較はこのようになりますhttp://upup.bz/j/my93349RrEYt7VI5YghA4jQ.jpg サイトグラフ比較してみて下さい。21世紀以降を見ると賞与の足し忘れでイメージがかなり違うことがわかりますhttp://upup.bz/j/my93352OiXYt2nvuW3LTbtU.jpg なおサイトグラフでは2012年までですがこの画像財政金融統計月報に出ている2011年までとなっています

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