2013-11-28

赤ちゃん取り違えの件で、財産相続は罪だと思った

赤ちゃん取り違えの件を簡単に説明すると、1953年にほぼ同時に生まれた赤ちゃんを、病院側が取り違えてしまい、一方は裕福な家庭に育ち、現在では不動産会社経営するようになった。一方は貧しい家庭に育ち現在まで大変な苦労をしてきたという話です。そこで人生を狂わされたとして、貧しい家庭で育った男性らは、病院側に約2億5000万円の損害賠償を求め、裁判所病院側の過失を認め約3800万円の支払いを命じた、ということです。

これが取り違えることなく育っていたら、一方は楽に、一方は大変に人生を過ごすことになるだろう、と思われます。そこに起きる違いは、損する人と得する人が入れ替わるということだけです。重要な点は家庭環境が違うと、現状の制度下ではその後の人生が大きく違ってくるということと、そういった重要なことが全く偶然に決定されるということです。中世に生まれるか現代に生まれるか、障害者に生まれるか健常者に生まれるか、あるいは人の子として生まれるか、野良猫の子に生まれるかも偶然に決まります。今回の件では病院赤ちゃんを取り違えないだろう、という期待があったため、病院側の「過失」を認め、損害賠償の支払いを裁判所が命じました。

ここで疑問に思ったことがありました。なぜ偶然に決まるものを、絶対的ものとして、現状を追認するのかと。法律的な話ではなくて単純な疑問です。訴えた男性らの大元の主張として、人生が狂わされたというのは、(偶然決まった)本来の裕福な家庭に育っていれば、こんなに苦労することはなかったという解釈ができます。つまり偶然決まる生まれつきの待遇の差を当然だと思っているんです。僕にとってこれはなんだかふわふわしています。取らぬタヌキの皮算用というか。例えるなら、私は買えば宝くじに当たるはずだったのだから、当たらなかったのは、他の誰かに当たったからであり、それはおかしいので、当たった人は私に取り分を分けるべきである、といった主張を聞いているような感じです。

大変な努力をされて成功する人もいるでしょうが、その時代、その家庭環境など無数の偶然がその人を形づくっています。決して自分だけでやってきたとおごらないで欲しいのです。

人間にはできることと、できないことがありますが、偶然きまる境遇の差を、相続という形で再生産することは、人間にとって改善する余地のないことではありません。権利を持つ人が生きている間に、何をするかはもちろん自由ですが、権利者が死んだ後、人間としてあらゆる権利喪失した、「何か」から財産相続することはとても正義とは思えません。

  • 長いし、何を言ってるのかもわかりにくいので、間違ってたらすまんよ。 「今回の件」に関してのみ、財産相続は罪と思ったのか? 財産相続が罪と思ったのか? 血縁関係があるの...

  • 100年ぐらい前にもマルクスって人が同じようなこと言い始めて、 紆余曲折あったけど結果的に10億人ぐらいの人が死ぬことになったよ。

    • 資本主義はもっと殺してるんじゃないかなw てか2013年時点で人間ってどのくらい死んでるんだろうな とりあえず西暦で考えるとして

  • 財産相続なんて無くして、遺産は全部回収して、子どもはみんな同じ条件で養育されるべき、ってのはひとつの考え方だと思う。 ただ、親にとって、自分の子どもに(他人よりも)幸せ...

  • 日本というか、今の社会は血縁主義だから仕方がないよ。 血縁主義のもとでは、赤ちゃんの取り違えは万死に値する重罪なのだ。

    • いや、日本は欧米に比べても殊更血縁主義が強いと思う。 養子というシステムもうまくまわってないし、連れ子の扱いもかなり酷い。 異常なまでの血縁主義。

  • http://www.news-digest.co.uk/news/features/2766-four-distinguished-families-in-london.html :title=ロンドンの一等地を握る4つの名家 - イギリス生活情報誌 - 英国ニュースダイジェスト ] >> イギリス  贈...

  • 人生を偶然の運が左右すると言う前提で言うなら、人類の繁栄や種の保存のためには運の良い人には生き残ってもらわなくてならないので、相続はむしろ当然だ。運の無い人に与えても...

    • 運は、個についてる特性ではない。 個の特性がたまたま環境に合致していたら生き残れる。それを運、というのならば、確かに必要だ。 そもそも、生物はそうやってランダムに変化させ...

  • 君の文章、論点がごちゃっててわかりにくくなっていると思う。 ”私はあの家に育ってもっと良い人生を送るはずだった”その”はず”が何故ありえたと言えるのか、 ということに対...

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