2013-11-24

私の教室男子に支配されていました

 私が中学生の頃、クラス覇権はほぼ男子が握っていました。私の学校は中一の終わりにクラス替えをし、中二から卒業まで担任もろとも同じクラスというシステムでした。中一の頃は小学校の延長上のような雰囲気で、どのクラス男女平等に発言権や権力を持っているように思われました。

 中二になって、周りが同年代の異性を恋の対象として意識し出すにつれ、私は薄々と絶妙パワーバランス気づき始めました。最たる特徴は、文化祭体育祭などの行事で何を決めるにしても男子意見が最優先され、女子はそれに付き従わなくてはならないという構図でした。それに少しでも反対する空気を醸し出せば、その女子はたちまちを“洗礼”を受けてしまます。それは思春期女子プライドをずたずたに切り裂く卑劣な手口そのもので、男子女子をわざと聞こえるように大声で性的なことを言ってからかいます。文章にするのもためらわれますが、私が実際に聞いたのは「×××(女性器)くっせー」、「100円あげるからヤらせろよ」といったものです。他にもずいぶん酷いことを言われていた気がします。とにかく、男子に楯突いた女子はその瞬間から立場を失い、何を言われても黙って俯くしかないサンドバッグに成り下がりました。周りの女子も同じような被害に遭いたくないがために、見て見ぬふりをしました。一方、いわゆるスクールカーストの上位にいる女子たちはそういう環境に上手く適応しているようでした。彼女達は、男子に決して逆らわずプライドを刺激せず、彼らをひたすらおだてるという行動に出ました。その中でもとびきり可愛い子達は中心グループボス彼女になったり、自分より下位の女子男子と一緒になってからかうようになったりしました。ある時、馬鹿にされていた地味系の女子カースト上位の女子に言い返しました。最初は些細な口喧嘩だったのですが、やがてそれは、先生が来て取り押さえるほどの掴み合いの喧嘩にまで発展しました。その時に現場見学していた男子が言い放った「女ってこええ」という言葉が、私は今でも腑に落ちません。

 中三になって、彼らの行動はますますエスカレートしました。授業中に女子が手を上げて発言しようものなら「アイツ調子に乗ってる」と仲間内で耳打ちし、舌打ちをしたり奇声をあげたりして遮ります休み時間には、男子教室の真ん中でプロレスごっこをし、女子は巻き込まれぬよう隅っこでおびえ続けます。彼らの遊びが終わると、散らかった椅子や机を片付けるのは女子の役目です。掃除時間男子とそれに従う女子はおしゃべりをしてサボり、真面目な女子が行った手柄を簡単に横取りしました。彼らの中で“男子”とは絶対的な支配者で、“女子”はそれをサポートし崇め奉る従者という図式が既に完成しており、それに歯向かうものは徹底的につぶさなくてはならないという意識があったのでしょう。特にこの時期になれば男女の体力差は歴然としていますからターゲット女子に絞れば物理的な報復を受ける可能性はゼロに等しい。彼らはそこに漬け込み卒業までクラスを我がもの顔で牛耳っていきました。

 ある日私は、ネットで「クラス女子馬鹿にされて女不信になった」という文章を見て愕然としました。あれだけ私達女子を屈服させて、自分達のやりたい放題やってきたくせに、何をふざけたことを言っているのか。男というのはどれだけ傲慢な生き物なんだ。と、怒りさえ湧きました。しかし私はその認識が誤りだと気付きました。彼らの言っていることはあながち間違いではない。彼らはいわゆるスクールカーストの最底辺に位置する人種だったのです。確かに、権力のない男子からすれば、スクールカースト最上位にいる男子に媚を売り、自分達をナメてかかる女子が目の上のタンコブどころか、悪魔のような存在に思えたのかもしれません。ワンマンな支配者よりも、それにすり寄る狡猾な人間、いわゆるスネ夫タイプの方が周囲からは憎まれるものですから。そして私は嫌でも「女子けが支配下におかれ苦しんでいた」という認識を、改めざるをえませんでした。私は権力を持たない男子いかなる生活を送り、どのような悩みを持ち、苦しんできたかをまったく考えてこなかった。つまり、私の目には「支配する男子」と「搾取される女子」の二種類しか映っていなかったのです。

 学生時代経験を通じて女性不信になった男性と同様に、私は今でも男性不信です。しかし、男性全員が酷い男性ではないという希望を持ち、克服するように努力しています。そういえば、中学時代女子からかっていた男子グループの内の一人は、現役で早稲田大学に行ったそうです。彼は当時も勉強ができて、高校も推薦で進学校入学してましたから、特に驚きはしません。ただ、こういう人が将来大企業の幹部になったり国の代表になったりするとしたら、日本から男尊女卑の風潮が消えるのはまだまだ時間がかかるのではないかと思いました。

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