2013-11-05

いまお笑い芸人を目指しちゃうヤツについて。

今年のNSC吉本お笑い養成所)の入学者数は東阪合わせて約800人。

そのうち何人がお笑いで飯を食えるようになるのか知らないが、おそらくその多くは「お笑いが好き」だから芸人を目指したのだと思う。

でも、今の時代、わざわざプロを目指さなくとも、ネット上でいくらでも自分面白さを人に発信できるはずだ。

大喜利がやりたければTwitter面白いことをツイートフォロワーを増やせばいいし(恐山なんかはその典型だろう)、文字だけで物足りないならYouTubeニコ生で発信すればいい。現にそういったネット界でのちょっとした"人気者"はたくさん出てきていて、それは"お笑い"という既存ジャンルの枠組みには必ずしも当てはまってはいないが、テレビのみが娯楽のほぼすべてだった時代に比べるとその多様性はすごく増した。

そんな時代にあって、彼らがわざわざお笑い養成所に入る理由とはなんだろう?

私の勝手イメージを膨らませると、彼らの大多数はまずネット文化にあまり馴染みがないのだと思う。

一部の老人の見立てと違い、いまの若い人は全員がネットに熱中しているわけではないし、ネット用語で言うところの"DQN"や"リア充"とでも呼ばれるような、非バーチャル現実社会コミュニティ地元学校友達など)こそが自分の居場所だという「旧世代から常識的な生き方」をしている人がやはり多数だ。

ネットばかりしているとその事実をつい忘れてしまうが、僕らはバーチャル空間に生きているわけではないし、少なくとも肉体はこの現世に存在している。幸か不幸か僕らはこの忌々しい社会システムの上でしか満足に生活を送ることができないのだ。

一部の若者NSCに行ってしまう原因の1つには、そもそもそういったネットの可能性があることをあまり知らない、あるいは知っていてもあまり興味を持っていない、ということが大きいのだと思う。

そしてもう一つ、プロお笑いを目指さなければいけない理由があるとすれば、それはやはり「スターになれるから」ではないだろうか。もちろんNSC(あるいは類似する養成所)の生徒の中にはネット自分の基盤とし、まとめブログを読み、ニコ生の可能性を知り、Twitterブログ自分の思いを発信していた人も少なからずいるだろう。

しかTVなどの旧メディアに比べると、ネットというのはまだまだ発展途上だ。あるいはもう限界が来ているという見方すら出来るかもしれない。各自が好きに情報を取捨選択し、パーソナライズされてしまうこのシステムの中では、インターネットはどうしても自分本位世界になりかねない。

マスメディアの在り方こそが正しいとは口が裂けても言わないが、少なくともネットに比べれば限りなく一元的最大公約数価値提供していることは確かだ。

TV界のスター」に比べれば、インターネットの人気者はやはりあまりニッチすぎる。「明石家さんま」や「ダウンタウン」を知らない日本人は少ないが、うちの祖母は「ダ・ヴィンチ・恐山」なんて絶対知らないし、個人的にはニコ生界のスターなんて名前すらわからない。

そこに個人的嗜好を超えた善し悪しをつきつけるつもりはない。ただ純粋事実として、そこには明確に規模の違いがある。一番の根本的な差は、彼らの活動がお金の発生するビジネスであるかどうか、即ちプロかどうかという部分だ。

もちろんテレビの衰退なんてものが叫ばれる中、インターネットの可能性にかけるのも悪くない。しかしこの世界はまだまだ黎明期であって、たとえばニッチな方向に行ってもそれ以上の発展はないし、なにかしら盛り上がりがあったとしても、今のようなムーブメントはいつ消え去ってもおかしくない。そんな道を目指してしまうと、いつのまにか砂上の楼閣が崩れさって、砂漠のまっただ中で迷子になってしまうかもしれない。

どちらにしろ若い彼らがなぜプロを目指すかと言えば、"お笑い界の頂"には他では見られない景色があるからだろう。

わかりやすく言えば、金は儲かるし、人にちやほやされる。そして社会に影響を与えられるような存在にまでなる。何よりもTVに出てるお笑い芸人はとても楽しそうに見える。

しかし既にお笑い界は飽和状態、新しい人材をわざわざ求めるほどの理由がない。

世に出るための第一歩として、まずネタで評価されるというのが芸人王道だが、たとえば代表的なピン芸(一人芸)に見られる「フリップネタ」なんて、Twitterネタツイートしてるのと何が違うのか。

別にフリップに限らずそれは言える。たまたまお笑い産業という物があるからその中で職業として追求できる余地はあるが、初めにも言った通り、もはや今の時代その枠組みに入っていかなければならない必然性も低い。

まり僕はお笑い養成学校の生徒なんですけど、こんなことしてていいんでしょうか?

もっと今までにない別のルートで世に出た方が、より自分のやりたいことを追求できるんじゃないか

たとえば「バラエティ的な価値観が全てじゃない」と世の学生に伝えるにしても、もっと他の方法があるんじゃないだろうか。

でもやはり、よりポピュラリティの高い地位を獲得することで、容易に(もちろんしがらみはあるんでしょうが自己表現が達成されそうだという期待がある。

松本人志という人が自分の撮りたい映画を撮れてるのって、そういうことじゃないですか。

すごい叩かれてるけど。

……何も映画監督になりたいと言ってるわけではないんですよ。

同じネット上で活動するにしても、ネット上の有名人か、ネットに限らない有名人かというのは、よくも悪くも、かなり大きな差があると思う。

そして僕は後者を選択したい。

  • 今の時代、お笑い芸人なんてひな壇行きとか一発屋ならいいほうで、大成する余地はないんじゃないかねぇ

  • 人が多いほうが山の頂は高くなるが 高くなった分だけ登攀難易度が上がるので 凡人は人の少ない猿山を見つけて登りましょう

  • ネタクラスタっていうのかよく知らないが、ああいう人たちがtwitterでポストすることと「貴方がここに文章を書いて投稿する」ことはネット上では同じようなことじゃないのか?お笑い...

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