俺は帰国子女で、だいたい10年弱海外に住んでいた。複数の国に住んでいたがどれも英語圏ではない。その代わりにインターナショナルスクールに通っていたので、英語はぺらぺらであるといえる。
TOEFLのスコアは100以上あるし、外人と喋るときも特に不自由を感じてない。その英語がぺらぺらの俺は、英語は手段であると断言できる。
英語がぺらぺらなら英語の本、新聞も読めるようになるし、ニュースを聞いたり政治家のスピーチを聞くこともできる。人と議論をしたりメールすることができるようになる。
だけど文化を理解できるわけじゃない。そもそも英語に根ざす文化ってなんだ?俺は海外から日本に帰ってきたとき、周りの帰国子女の連中がずっとMTVの話をしていたのを覚えている。
残念ながら俺の家はNHKばっかりをみていたのでその話にちっともついていけなかった。MTVはアメリカの文化かもしれない。俺は英語を喋れるが、MTVのことなんて分からなかったし、今でも分からない。
そんな俺が、宗教、制度、政治、経済、メディア、会社、学校などの社会システムのあらゆる要素について分かっているのか?俺は自分の知っている限られた範囲のことしか分からない。
俺達は日本の文化さえ理解していない。俺は夢野久作や江戸川乱歩、フラワートラベリングバンドなんかが好きだが源氏物語は読まないし、アニメもみない。神道についても詳しくない。
ましてや日本の教育制度や、政治、経済などはさっぱりだ。こんな俺は日本の文化を理解しているのか?これらの分野について一生かけて研究している人たちがいるなかで
俺はただ日本人に生まれ、日本語を喋れるだけで、日本文化を理解できているとは思えない。ましてや英語を喋れるだけでアメリカ、イギリス文化なんて分かるはずがない。
強いていうなら、英語を喋れるようになるとルールは分かるようになる(分かる必要に迫られる)。英語を喋る人間のルールだ。これはいわゆるネイティブスピーカーだけのものではなく
英語に触れ、英語で人と繋がるための作法だ。例えば、Facebookのアカウントをもって繋がる(学生だけかもしれん)とか、Bruno Marsを聞くとか(これも学生だけかもしれん)、気の利いたジョークを挟むとか
レディーファーストとかそういうルールはたくさんある。これは英語を喋る人同士が何となく繋がるためにあるマナーだ。これを知ることはブレークスルーか?こういう薄っぺらい何かは文化だろうか?
まぁこれは英語の特殊性かもしれない。ネイティブじゃない、英語がぺらぺらの人間は非常に多い。そういう人達は別にアメリカ文化、イギリス文化に根ざしているわけでもないし、その文化を理解しようと
しているわけでもない。別に偉そうに英語の能力と文化を結びつける必要なんてない。英語を使って知りたいことを知ればいい。でもそれは文化の切れ端にしか過ぎない。たかが言語ですよ。