2013-09-19

マスダ80年代女性アイドル論~斉藤由貴

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マスダ女性アイドルシリーズですが、今回で一応の区切りとなりますが、あともう一回、総論とお知らせを書く予定です。


人生山あり谷ありと申しますが、浮き沈みの激しい芸能界、これまで取り上げたトップアイドル5人ですが、プレミアム感を維持しながら、それぞれに生き残っているのはさすがです。80年代に小話のネタで「ミナミヨウコミナミヨウコ、一字違いで大違い」というのがありました。南田洋子さんは若い時は大変な美人女優で、当時も上品美しい人ですから、この言い方はずいぶん失礼だったのですが、まあ若いからすればおばさんには違いない、敢えて南野陽子比較すれば、それは南野陽子の方が当時としては全然いいわけです。でも考えてみれば当時の南田洋子の年齢と、今の南野陽子の年齢はそうものすごく違うというわけでもない。それでいて、今でもテレビバラエティに出てくれば、「あのアイドルナンノちゃんが来てくれました!」みたいなハレの日感を維持していますね。

これは80年代女性アイドルに限った話ではなく、80年代に登場した/有力になった人物、フォーマットは未だに影響力があります。例えばお笑い界で言えば、60年代クレイジーキャッツ70年代ドリフターズ萩本欽一はそれぞれ続く10年では息切れしていましたが、お笑いBIG3は未だにお笑いBIG3です。これと似たような現象が、80年代についてはありとあらゆる分野について見られます

もちろんそうは言っても、人そのものは年齢を重ねてゆくわけですから80年代トップアイドルたちもそれぞれ見せ方を変えてきています。一貫してアイドルである松田聖子でさえ、もう聖子ちゃんカットにはしてくれません。デビュー当初の松田聖子はとてもキュートでしたが、映画野菊の墓』で前髪を上げた時、キュートさがびっくりするくらい無かった、彼女にとって前髪がものすごく重要であることを多くの人が認識したのですが、結婚以後、どういうわけか彼女はかたくなに前髪をオールバックにしていますね。

そういう小さなことから歌唱スタイルをまったく変えてきた中森明菜に至るまで、プレミアム感を維持したトップ芸能人という立場は同じでもその内容は違う、そういう変遷をそれぞれに辿っています

しかほとんどアプローチの仕方が変わっていない人もいて、斉藤由貴がそうです。

彼女場合路線変更や、あれこれ小ネタを仕込む必要もないほど、順調だった、彼女人生行事に合わせて、芸能界仕事がいいように流れて行った、だから流れに身を任せれば良かった、そういう特に恵まれた境遇にあるのが見てとれます

アイドルとしてはもちろん、芸能人として斉藤由貴ほど恵まれた立場にある人はそうはいません。もちろん、アイドルとして彼女よりも成功した人たちはいるのですが、その人たちから見てさえ、斉藤由貴境遇は出来れば替わって欲しいものでしょう。これまで取り上げてきた5人のアイドル斉藤由貴のうち、事務所を移ったことがないことがないのは小泉今日子斉藤由貴だけです。聖子明菜も、薬師丸も南野も、それぞれに苦闘と逆境がありました。小泉は天下のバーニングプロダクションの、郷ひろみと並ぶ最古参タレントのひとりとして安定した立場にありますが、その立場は結果であって、トップアイドル上り詰めて維持するためには試行錯誤セルフプロデュースを試みなければなりませんでした。斉藤由貴のみ、ただ流れに乗っているだけで、他の人が垂涎するような仕事に恵まれて、その流れがずっと維持されています

自分人間関係では子供の時からずっと不器用で苦労しているけれども、こと仕事に関しては順調だった。運動神経もあんまりよくないので『スケバン刑事』の仕事の時はあんまり乗り気じゃなかったけれど、その仕事好調視聴率もよかった。あんまりこの仕事はしたくないというのがないので、来る仕事をそのままこなしていたら、思う以上にいい結果が出て、それがずっと続いている感じです」

斉藤由貴は述べています

ただし、単に流れに身を任せているだけではなくて、彼女場合は結果を出しています。来る仕事来る仕事ホームランで打ち返している、だから次につながっているのです。こと彼女に関しては、東宝芸能と言う事務所マネージメントが的確だったのは確かでしょうが、無理やり事務所ねじこんだタレントではなくて、確実に結果を残してきたから順調であったのです。結果として彼女タレントとしての個性と、東宝芸能と言う事務所芸能界での立ち位置マッチしたとは言えますが、彼女以外のアイドル東宝芸能マネージメントを受けても同じような結果を残せたはずがありません。一方で、やはり他の芸能事務所では斉藤由貴と言う才能を活用しきれなかったでしょう。


斉藤由貴が恵まれたアイドルであるのは間違いありません。恵まれていると言うのは、女優としていい流れで仕事サジェストされてきた、歌手として楽曲の水準が高かったという点においてです。そして最初からずっと順調でした。斉藤由貴デビューが遅いアイドルで、高校三年生の時から芸能活動を開始していますが、1984年春に東宝シンデレラオーディション準グランプリに選出されたのが芸能界入りのきっかけです。よく、ミズマガジンコンテストグランプリから彼女の経歴が書かれることが多いのですが、ミスマガジン東宝シンデレラオーディションの後です。そういう経緯から彼女東宝タレントであるわけです。

東宝は言うまでもなく、大手映画会社の一画を占め、現在は業績においては圧倒的に日本トップ映画会社です(ただしそれはTOHOシネマズなどの映画館チェーンが好調からですが)。それだけではなく阪急東宝財閥中核企業であり、宝塚歌劇団グループ内に抱えていますマネージメント業務を担当する東宝芸能は、数ある芸能事務所の中でも、一番安定していると言えるでしょう。

東宝シンデレラオーディションは、東宝が久しぶりにスター発掘のために開催したオーディションで、第一回のグランプリ沢口靖子準グランプリ斉藤由貴でした。彼女たちは今では東宝の顔になっています東宝マネージメントある意味タレントの自主性を重んじる傾向もあるのですが、東宝シンデレラオーディション出身者、特に第一回の出身である沢口と斉藤については社運をかけているという面もあって、脇をがっちりとサポートして、手塩にかけて育てた、本格派を目指させた、ありとあらゆるチャンスを与えた、そういう感じです。

沢口はデビュー作が、当時、東宝看板映画だった『刑事物語』の三作目、続く二作目がやはり東宝看板作品であるゴジラ』です。沢口は『ゴジラビオランテ』にも出演していますから堂々たるゴジラ女優ですが、こういう売り出し方がアイドル売りの王道とはかけ離れていることは言うまでもないでしょう。沢口や斉藤は、学生、もしくはついこのあいだまで学生だったのですから、学園ものを演じさせればそれなりにはまったはずですが、「身近な経験から演技を構築してゆく」のではない、物語のものからキャラクターを構築してゆく演技を最初から要求されています。そういう演技が難しいのかどうなのか、演技の資質がある人にとってはかえってやりやすいのではないかと思いますが、そうではない人にとっては真夜中に霧の中を進むようなものでしょう。とにかく、日常の「女の子から演技を積み重ねてゆくような、私小説的なアプローチを封じたわけで、これは斉藤由貴についても同様です。

斉藤由貴ドラマ初出演作は『野球狂の詩』で、その次が『スケバン刑事』です。いずれも東宝制作ではありませんが、非日常的と言う点では、十分に非日常的なお話から斉藤は演技をスタートさせています


斉藤芸能活動の開始は1984年からですが、高校三年生であったこの年、彼女神奈川の県立高校に在学していたので、大きな活動はありませんでした。ミスマガジンマガジンの表紙を飾ったのと、伝説的なCM『青春という名のラーメン』に出演したくらいです。続く1985年1月月曜ドラマランド枠で『野球狂の詩』が放送され、2月にファーストシングル『卒業』が発売されました。

『卒業』が発売された時には、斉藤由貴はもうかなり話題になっていたので、『卒業』はいきなりベストテン入りして、最高6位までチャート順位を上げていますデビュー曲ベストテン入りしたアイドルは既に映画女優として実績のあった薬師丸ひろ子原田知世おニャン子の流れでデビューした工藤静香を除けば、「80年代女性アイドル格付 」ベストテンの中では斉藤由貴だけです。

そして1985年4月からスケバン刑事』の放送が始まります


ここで彼女異端性について触れておきましょう。ご存じのとおり、彼女信仰心がある人です。現代日本では信仰信心があること自体が異端で、それも仏教系・神道系ではなく、外来キリスト教信仰しているのは異端の中の異端、更にキリスト教の中でも、末日聖徒イエス・キリスト教会モルモン教)の信者であることは異端です。キリスト教新宗教派の中でも、その教義戒律おい異端性が特に濃厚なセクトです。エホバの証人統一教会比較しても、特に異端性が強いと私は見ているのですが、最近はあたりが緩やかになっているのでしょうか。2012年アメリカ大統領選挙で、共和党の候補にモルモン教であるロムニー氏が選ばれたのは意外でした。現在キリスト教おいては、全体がリベラル色を強める中、保守回帰宗派転向する人も増えていますイギリスカトリック転向する人、中南米カトリックから更に原理主義的な新教系原理主義転向する人、そういう例もかなり見られます教皇フランシスコが先日、同性愛を容認する方向についに踏み込みましたが、カトリックからキリスト教原理主義転向する人も増えるかも知れません。

そういう中でモルモン教異端であるがゆえに、より濃厚な保守主義を維持したい人たちの受け皿として浮かび上がっているのかも知れません。

斉藤由貴宗教おいても特に異端性が強いセクト信者であるわけですから、どうしても異端性を自覚して生きてこなければならなかったはずです。それが彼女に他の少女とはまるで違う、ゆらぎのような魅力を与えています。それは純粋さ、純潔さであるように見えますが、要は世界観のずれ、であるわけです。西洋人ジャポニズムに感じたような世界観のずれから生じる「発見」「新感覚の体験」、斉藤由貴はそうした未知の体験を触れる者に与えるのです。

彼女社会おい異端であることを踏まえれば、彼女ある意味おいて「生きづらい」のも当然なのですが、それでいて彼女信仰のものを相対化するようなゆらぎをも抱えています彼女が単純に敬虔信者というならば、二度に及んだ不倫など出来るはずがないのです。彼女自身はその不倫正当化はしていません。そういう意味では信仰を維持しているのは確かですし、その行為があったからと言って「魔性の女」扱いするのは不適当ですが、それほど信仰する宗教の中にあってさえ、時にやむにやまれぬ衝動に突き動かされる、異端性を彼女は持っているということなのです。

そのセクト信者であることによって社会生活おい彼女異端なのですが、彼女自身のキャラクターによって信仰仲間の中にあっても異端なのです。それが彼女の「生きづらさ」になっていますが、事が彼女信条性格に由来するために、それこそ生まれ落ちた時点から彼女はこの異端性を抱えています。だからそれが当たり前なので、ある意味、「もはや問題ではない」のです。空が青いのと同じく、生きづらいのがデフォルトなので、もちろんそれに伴う苦労はあるにしてもそれで悩むことはもはや意味がない、だから悩まない。彼女には異端でありながら底抜け楽天主義があるとしたらその根っこは諦めの境地です。


斉藤由貴特に楽曲に恵まれたアイドルです。シングルはいずれの曲も神曲レベルにあります

作詞では松本隆森雪之丞谷山浩子作曲では筒美京平玉置浩二亀井登志夫原由子らが担当していますが、いずれも彼らのキャリアの中でも一二を争う水準の作品を提供しています。これはおそらく斉藤由貴創作意欲を掻き立てる何かがある、ジャポニズムに触れたゴッホのように、斉藤由貴によって創作トリガーを引かれる何かがあったということなのですが、デビュー曲『卒業』を例に、見てみましょう。

続く

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        折角なので、元増田には工藤静香についても語ってもらいたい。特に中島みゆきによる楽曲提供のあたりを掘り下げて。

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        • http://anond.hatelabo.jp/20130912100847

          「究極の選択」ですけど、私の時代は内田有紀でした。言われてみれば彼女もニュートラルな感じかなー

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      • http://anond.hatelabo.jp/20150812040309

        おう、しょんべん臭いガキがこんなところになんの用だ? ケツの穴でも貸してくれるってのか?

        • http://anond.hatelabo.jp/20150812040820

          はてブでもそうだけど自分のこと揶揄されるとすぐそういう態度に出るの恥ずかしいよ

        • http://anond.hatelabo.jp/20150812040820

          ふと思ったんだけど、「ケツ貸せ」って言うのおかしいよね。 例えばまじで貸出しても前と同じ状態で返してくれるわけないし。 けっきょく傷物にされて返ってくるじゃないですか。 ...

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