研究室に配属されてしばらく経つが、どうにも研究に身が入らない。研究に没頭して他のことなんか興味のないような、そんな研究者に憧れていたけれど、どうやら自分にはその才能がないらしい。それを才能の一言で片付けてしまうと必死に努力している方に失礼になるかもしれないが、やはり自分には、研究に没頭できるということはその人の才能であるとしか思えない。
自分は小学生の頃から今に至るまで、勉強に関しては常に上位に位置してきた。だが、それは、自分に自信がないからこそ、自分が他人よりも優秀であるという証拠が欲しかっただけだ。勉強が好きだったから頑張ったわけではない。だがそれでも、自分は勉強に向いていると言い聞かせ、職業としてはマイノリティである研究者を目指そうとした。少数派になりたかった。このまま勉強を続けていれば、そのうち勉強を楽しめるようになり、成績なんかで自分が優秀であると示そうとしなくても、 特別な人間になれると思っていた。 高校生のときは「大学に入りより専門的な勉強をすれば自分も変わるはず」と言い聞かせ、大学生になってからは「研究が始まればそれにのめり込むはず」と言い聞かせてきた。しかし、どれだけやっても勉強に熱中できない。そして、研究が始まってようやく悟った。何かに熱中できるというのはそれ自体が才能であり、後天的には獲得できないと。自分を変えることなんてできないんだと。そんなことは中学生のころから気づいてはいたが、認めたくなかった。だが、もうここに至っては認めざるを得ない。自分はどうしようもなく普通の人間だ。思春期をこじらせて、変に勉強ばかりした分、普通以下だといってもいいかもしれない。もっと早くに認めるべきだった。
これからは自分は普通の人間であり、それは死ぬまで変わることはないと言い聞かせ、その上で普通の人間なりに満足のいく人生になるよう考えながら生きていきたい。
平凡性の自覚は非凡の高みに登るための第一歩だ。先は長いよ。 http://anond.hatelabo.jp/20130624232033