2013-05-21

乙武氏の火消しブログに散りばめられた巧妙さについて。

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まるで日本中が道徳時間になったみたいだ。
乙武関連ツイートが1分に数十件も流れていく。
この状況は知名度で生計を立ててる乙武氏にとって悪くないだろう。
ネット芸人にとって悪名無名に勝る。
しかし気の毒な店主はどうだ。電話は鳴りやまず、営業はできない。
嫌がらせにおびえ、店の悪印象だけが朝のニュースでまで広められる。
彼にとって時間をかけて自分の気持ちを主張することは本業でないし、
ここで自己主張してそもそもお客になりえない全国津々浦々のネット住人から
賛意を得たとして何を得られるというのか。


しかし、さすがに無理筋で同情の声が弱いことに気が付いたのだろう。
乙武氏は練りに練った起死回生の一文をブログにアップした。
けれどもこのエントリーは失敗に終わるだろう。


・いつものスタッフはなし、嫁以外の女子と2人きり、スーツは汚したくない。
車椅子であることを事前に伝えるつもりはない。
「僕はこれまで一度もそんなことをせずとも外食を楽しんできましたし」

これはいけない。ネット世論の35%を占める童貞を敵に回している。
そして車椅子であることを伝えるのは一般常識ということが、
どうやらネット世論的には決まりの流れの中で…
まだこんなことを言っていては流れを引き付けるのは厳しい。


しかしさすがは500万部のベストセラー作家
その細部まで巧妙に仕組まれた文章テクニックは見習うところが多い。
後学のため火消しテクニックとして細かく拾っていこう。

僕の使用する電動車いすは100kgの重量があるため、こういう場合歩道に“路駐”して、僕の体だけ店内に向かうしかない。

→100Kgの軽量化を行ったあとの本体が40Kgであることを伏せる。

身長150cm台の彼女が、僕を抱えて2階まで上がることはまず不可能だ。
店主と思しきシェフキッチンを一人で切り盛りし、もうひとりの大柄な男性スタッフホール担当していたという。

→ここでスタッフが大柄な男性であることを強調しておくことで
 抱えられたけれどあえて抱えなかったという印象を与えることができる。
 前段で40Kgの具体的体重を伏せたのが活きてくるのだ。
 でもペットボトル80本を両手に持つことを考えてみたら、
 男性だろうとなんだろうとそれがどれだけ大変かわかるだろう…。
 怪我をさせることは許されないし、自分が怪我しても営業がなりゆかなくなるのだ。

「いまは手が離せないので難しいけれど、手が空き次第、迎えに行きます」と言ってくださったそうだ。

→人づての会話なのにはっきりしている。
 まるで店側が約束したことを反故にしたような印象を与える文章だが、
 新人ホールスタッフがお客に頼まれた以上、手が空いたら行くとは言うだろう。
 その後、店長の判断でサービス維持上それが適わないということもありえると思う。

僕はその場にいたわけではないので、どこまで彼らのやりとりを忠実に再現できているかはわからない。だが、とにかく彼女は店主の言葉や態度から「排除されている」という感覚を強く受けたという。
女性ならではの感性かもしれない。このやりとりに傷ついた友人は、泣きながら階段を駆けおりてきた。

→ここではそうした店側の判断の合理性については検証することはない。あまり深堀りしたくないからだ。
 そこで感覚感性、そして女の涙で押し通す。
 ただ「女性ならではの感性」というのはそれはそれで差別的なので失敗だったと思う。
 「僕と違い、拒否され慣れていないのでよけいに堪えたのかもしれない」と私なら書く。

 また友人が泣いて駆け下りてきた後をおって店長が降りてきたということは
 店長にとっても泣き出したということがそれなりに以外で驚きの行動だったと思われるし、
 追いかけてきたおいうことは放置せずにちゃんと説明しようと思っていたように思う。

 ところが乙武氏はこれを以下のように説明する。

店主みずから階下まで降りてきて、こちらの非をなじられたことにも驚きました。

 →ずいぶん言い方で印象が悪くなるものだ。
  これではまるで人格に問題がある俺様店長にみえるが、でも、これだったらどうだろう。

『突然、泣きだして駆けおりてきた友人をみて
 料理もそのままに1階路上まで店長はあわてて追いかけてきた。
 不器用そうな店長は僕に挨拶をするといったこともなく
 「エレベーターが止まらないことはホームページにも
 書いてあったんですが…」とへどもどと不器用な弁明をはじめた。』

 これなら料理世界でずっと生きてきた。
 世渡り下手だけれど、いいシェフ。…そんな感じになる。


「そうですよね。事前にお知らせもせず、失礼しました」

 この状況でも、こんなセリフが素直に口をついて出てくる大人に、僕はなりたい。でも、僕はなれなかった。愚かなことに、そのケンカ調の言い草に、ケンカ調で返してしまったのだ。それは、僕の友人を泣かせるような対応をしたことに対する憤りもあったかもしれない。

 →これはすごい。乙武マジック白眉
 言っていないセリフを言いたかったということで一行空きで書く。
 本当は言ってないことに気が付かない読者が3割はいるし、
 常識のあるやりとりをしていたのような印象を残すことができる。


他人を小馬鹿にしたような笑みを浮かべる店主
よしりんもよく使う印象操作
 「泣きそうになりながらも、お客相手ということでなんとか無理に笑顔をたもつ店主」
 …だったらどうだろうか。

このあと、二言三言やりとりがあったかと思うが、残念ながら記憶が定かではない。だが、店主が最後に言った言葉だけは絶対に忘れない。
「これがうちのスタイルなんで」

 →今度はここは記憶が飛んでるのだという。
 いちばん問題となってる発言、これがうちのスタイルなんで」だけれど
 仮に言っていたとしても意味は前の会話によって変わるのだ。
 こんな都合がよく記憶に濃淡つくものだろうか。

エレベーターも止まらない雑居ビルじゃ商売苦しいでしょ?』
『隠れ家のように好きな人にだけ来ていただいています。』
銀座らしいちゃんとした箱を借りて、もっと立派な店をやんなよ。』
『素材には糸目をつけず、家賃利益は求めないで、お客様に喜んでもらう。これがうちのスタイルなんで』
 これならどうだ…2往復もミッシングリンクがあれば会話なんてなんとでもなる。


P.S.でも、やっぱり、店主がお許しくださるのなら、いつの日か再訪してみたいな
だって、お店の料理、本当においしそうだったから。
 →ここまで一度も店主に謝罪すらしてないのにお許しもなにも…。
  それに怒ってるのは乙武氏とその信者である
  「店長にはご迷惑をお詫びして、ちゃんとスタッフをつれて今度は言ってみたいな。」
  ならもうちょっと感じがよかったのではないだろうか。

でも、まあ女友達を泣かせた仕返しがしたかった男と、ワンマンで接客レベルの低い店長の泥沼に落としどころを付けるならこれでしょう。
屈強な男子数名と何人かで貸し切りにして、乙武氏を囲む会が開催されるならぜひ参加したい。

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