2013-04-28

自民党北海道に激震 支持団体から政権批判続出「地方は滅びる」

TPP(環太平洋連携協定)交渉参加へ向けた日米事前協議12日決着し、日本が7月にも交渉に参加する見込みになったことで道内の農業産業関係者に激震が走るなか、自民党道連のTPPに関する情勢報告会が14日、北見市内のホテルで開かれた。自民党側は「安倍総理北海道を守る、と言っている。党道連は乳製品など農業重要品目は死守する考えだ」と述べたが、出席者から「一刻も早く交渉参加から撤退すべきだ」「自民党裏切り行為だ」などの批判の声が相次いだ。

網走管内の自治体経済団体関係者ら140人が出席した。冒頭にあいさつした自民党道連・議員会TPP問題対策本部長今津寛衆議は、先の衆議院選挙自民党の道内候補が「交渉参加断固反対」を唱えていたこととの矛盾について「皆さんから約束が違うと批判を受けていることは止むを得ないものと思う。大きな責任を感じているが今後、我々がどう責任果たしていくかが問われると考えている」と述べた。また武部新衆議もあいさつし「皆さんの意見をしっかり受け止め、不安を払拭し、政府と一体になって国益を守っていく」と決意を述べた。

党TPP対策委員会副委員長森山裕衆議が情勢報告を行い、党の決議として「農林水産分野の重要5品目(コメ、麦、牛・豚肉、乳製品甘味資源作物)や国民皆保険制度などの聖域の確保を最優先とし、それが確保できないと判断した場合は、脱退も辞さない」という考えであることを説明。党のTPP対策委と政府が緊密に連携していく考えであることを示した。

 しかし会場との意見交換では批判が続出した。

 農業団体を代表してオホーツク農業協同組合長会の佐藤正会長JAこしみず組合長)は「(TPP参加表明は)暴挙であり、自民党を信じて票を投じた選挙民への裏切り行為と厳しく批判。

 漁業団体を代表して北見管内漁業協同組合長会の阿部会長(紋別漁協組合長)は原油価格の高騰など漁業経営の厳しさが募るなか貿易自由化は、ますます経営を厳しくする。またTPPにより(漁港整備などの)漁業補助金が廃止されるようなことになれば、国の漁業政策が大きく阻害される」として強く反対した。

 オホーツク商工会議所協議会を代表して知見喜美男氏(紋別商工会議所会頭)は「1次産業が衰退すれば2次・3次産業まで波及し、地方は滅びる。自民党日本農業をどうするのか、また地方のものをどうしようというのか。明確なビジョンを示すべきだ」と訴えた。

 これらの意見を受けて自民党議員団は「皆さんのおっしゃる通り」とし「重要品目はしっかり守っていく」と決意を述べた。

北海民友新聞 4月16日

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