本当は何年経っても辿りつくことのできないゴールを指差し、「努力さえすれば、辿りつけるはずだ」と耳元で囁く。
距離感の分からない若者は、その入り口に立ち、歩き始めるが、いつまで経ってもゴールに辿りつかない、セーブポイントさえ見つからない。
その道が、その道を歩むその者自身が、誰かの踏み台であると気付いた時には、もうゴールまで辿り付く余力はその者に残されていない。
そうやって夢を失っていく。
社会は、嘘をついているわけじゃない。けれど、本当のことも言っていない。
ゴールには辿り付けないと知った者たちは、傷を舐めあうように、その道のりまでの苦労を労い合い、また次の若者に「きっと君なら辿りつける」と説く。
こっちへおいでと無情な手招きをする社会を前に、夢を持つ人の夢を叶えることができるのは、一体誰なんだろう。